■もうあと1マイル■
気の向くままに書いていこうと思います。


■主観と客観その8 04/01/31

 LASIKを実際に受けてみて、判ったことがたくさんありました。

■病院選びについて
・個人病院よりも総合病院のほうが料金が安い
 専門でやっているところだと、それ以外に収入源がないため、2〜3万円以上料金が高くなるようです。保険が適用されないため、どなたでも平等な費用で受けられます。

・リラックスできる空間であるか
 手術、と聞くだけで身構えてしまう方も多いでしょう。なので、雰囲気の良いところがいいと思います。僕の利用した総合病院は、ちょっとしたホテルのロビーみたいで、とても落ち着けました。コーヒーも飲み放題です。(笑)

・話しやすい先生か
 こちらの疑問点や問題点について、些細なことでも気軽に話せる方のほうが、安心して任せられると思います。初回の検査に行ったとき、話しかけてみると良いでしょう。

・経験豊富なところ
 僕のような特殊な事例でも冷静に対処できる、いろいろな症例を経験しているところのほうが、いざというときに慌てなくてすむと思います。

・精度について
 LASIKはレーザーで角膜の「深部実質層(再生しない)」を削り取ってしまうため、一度削ると元に戻すことが出来ません。なので、「近視を少し残して」手術する(再手術できますからね)ところが多いそうです。それが「残さずに」出来るところなのかどうか。また、予定した視力(理論視力)通りの精度が手術で出せるのかどうか、重要だと思います。

・自宅からの距離
 半年から1年ほど定期的に通院して検査を受ける必要があることから、通院しやすい距離にあるところが望ましいです。点眼薬が切れてもすぐに取りにいけますしね。(笑)

 以上のことを踏まえて病院を選ぶのが、コツだと思います。

 近視の矯正法は以下の3つの方法が一般的です。

  器具の場合 手術の場合
眼鏡 コンタクトレンズ LASIK
近視の矯正可能な範囲 中度までの近視 すべての近視 中度〜高度の近視
矯正後の視力安定性 安定 安定 安定
ドライアイの影響 関係ない 関係ある ほとんど関係ない
術後の視力回復

若い人ほど早い
術後の痛み

ほとんどない
網膜に映る像の縮小 ある ややある ない

 3つの方法を体験した者としては、可能であればLASIKのほうが圧倒的によいと思いました。次点でコンタクトレンズですね。ただし、眼鏡も悪い、というわけでなく、気軽に使える点がいいですし、ドライアイの方にはお勧めの方法だと思います。ドライアイだと角膜に傷が入りやすくなります。眼鏡があれば保湿できますので、結構重要なアイテムかもしれません。

■手術をするタイミングについて
 この手術はいつやったらよいのでしょう?季節については、夏と冬は向かないと感じました。夏はクーラーの効いている場所にだけいるのでしたら良いですが、それ以外ですと汗を多くかくようになりますので、術後まもなく汗が目に入ると、感染症になる可能性が高くなるのではないでしょうか?また、冬は僕も身に沁みていますが、乾燥する季節のため、目がとても乾きやすくなります。目の潤いが少なくなると角膜の回復が遅れるので、冬に行うときは、伊達眼鏡を用意したほうがいいと思います。

 そういう点から考えると、手術するのは、春か秋がよさそうです。しかし、春は春で「花粉症」という厄介な問題がありますので、アレルギーの方は辛いと思います。秋口、9月下旬くらいがベターでしょう。

 時期については、LASIKの問題点である「暗いところで瞳孔がレーザーで削った範囲を超えてしまい、結果、光の見え方が変わる」というのも、将来的にはソフトウェアで削る範囲を制御して解決できるようになるらしいですが、いつ実現するか判りません。しかし、年齢が待ってくれないのは確かです。不便を感じたときが手術するタイミング、ではないでしょうか?

■体験談で
 僕が見た手術の体験談では、「朝起きたとき眼鏡を探してしまう」というのが必ず載っていたのですが、「嘘だろうー」と思っていたら、本当でした。(笑)手術後は視力変動(悪いときでも0.6以上あるので支障はないと思います)があり、更に起き掛けはちょっとぼけた感じがするので、眼鏡を探してしまうのです。寝るときに眼鏡を外そうと、手がこめかみの辺りで空振りするのも経験しました。(笑)僕の場合、20年余り眼鏡生活でしたので、裸眼で過ごすのに慣れるまで2ヶ月かかりました。「積極的になる」というのも本当です。開放感が大きいのです。

■見え方がおかしかった時期
 術後しばらくあったことです。視力変動以外に「脳が慣れていない状態」だったせいもあると思います。どういうことかと言いますと、度の強い眼鏡をかけたときのように、シャープな景色が目に刺さるような感じがしたり、見えてるのにぼけた感じがしたりしたのですが、これは「眼鏡をかけていない=見えない」はずなのに見えているため、その状況を脳が理解できてないからではないでしょうか?

■眼鏡の負荷
 僕はプラスチックよりもガラスのレンズのほうが解像度が良かったので、長年愛用していたのですが、欠点は重いこと。汚い話ですが、鼻に重量物が載っていたためか、鼻の脂が目立っていました。それが、眼鏡を外して生活しているとほとんどなくなりました。結構、ストレスが皮下組織にまでかかっていたのだな、と思いました。

 僕の目の話は、こんな感じでひとまず終了としたいと思います。個人的にLASIKは、50歳くらいまでだったらやってみる価値あると思いました。僕の場合はアクシデントがありましたが、おかげで誰よりも自分の目について詳しくなれました。僕は術後、ボーっと過ごす時間がもったいなくなりましたね。残された時間でいろんなものを見たいっ!(笑)

 最後に。健康な人は、それだけで恵まれているということを忘れないでいただきたいです。僕の記事が、これからこの手段を選択する助けになれば幸いです。


■主観と客観その7 04/01/29

 何度も受けた検診中言われたのですが、僕の目は「非常に綺麗な」状態だそうで。一般の方に比べ、傷が全くないとか。普通はごみや鉄粉が刺さっていたり、ひどいのになると食い込んだ鉄粉がさびている場合もあったり。自覚できないくらいの大きさらしいですが、怖い話だなー、と思いつつ、僕は自分の目の状態に安心しました。これで手術の中断さえなければ…。

 前日から手術を受けるのが少し怖くなってきました。後がない、というのもあるのですが、それより、手術の手順が判っているので怖くなったのです。たとえばマイクロケラトームは目の下のほうから入る、とか。何しろ初めてのときは具体的な手順を知らず、手術後のことしか考えてませんでしたので。

 迎えた2003年11月17日月曜日、この日は多分一生忘れないでしょう。病院へは、親父と向かいました。帰りにそのまま送ってもらうためです。前回と全く同じ時間に病院に着きました。前回と違うのは、手術を受けるのが、僕だけでなく、他に2人いたことです。

 1人は同じ病院の看護婦さんで、もう1人は隣の県から来た女性です。どちらも僕より若い方です。手術前の最終診察を待っている間、隣の県の女性は不安なのか、そわそわしていました。僕は1度受けて手順が判っていましたので、心を落ち着ける話しでもしてあげたほうがいいのかな、と思っていると向こうから話しかけてきました。

 わざわざこちらの県まで来たのは、田舎ということもあり地元にいい病院がなかったからだそうで。僕になぜこの病院にしたか聞いてきました。僕は前に書いたように、ここしか知らなかったからですが、彼女はインターネットで調べて決めたといっていました。実は僕の県で有名なのはこの病院の他にもう1件あります。隣の県からでは距離的につらい位置にあった(僕の家からも遠い)が、決め手となったそうです。経験して判ったのですが、手術後も定期的に検査が半年間続くので、近いほうがよいと思います。

 さて、診察が終わり僕たちは一斉に助手の方から手術の説明を受け、精神安定剤を飲みました。手術の順番は、看護婦さん、隣の県の女性、僕の順です。僕が最後なのは、マイクロケラトームを2回目用のものに交換しなければならないからです。僕が手術を受けるのは午後4時頃。前回と違っていたのは、レーザーの照射時間の説明があったことです。僕と看護婦さんが約30秒(僕の場合は32秒)で、隣の県の女性は42秒でした。近視の程度に応じて照射時間が長くなるのです。

 彼女は相当近視が進んでいるそうで、盛んに眼鏡の不自由さについて話をしてきます。僕が手術についての話をしても落ち着かない様子で、果ては田舎の不自由さにまで話し続ける始末。(笑)話していないと不安が取れないようでした。僕は精神安定剤が効いて、だんだんハイな気分に。しかし、手術の時間が1番遅いのに同時に飲んでいいのだろうか?とも。1番必要なときに効果が切れるのではないかと心配になりました。

 最初の看護婦さんが入りました。30分ほどして、出てきました。成功したようです。98%の方はこんな感じで、むしろ当たり前なのですが、とてもうらやましかったです。普通に歩いているのでどのくらい見えるのだろうか?と気になりました。体験談でも手術直後の視力について触れている方を見たことなかったので、余計に気になりました。受付の女医さんとの会話が聞こえてきたのですが、彼女は手術中にパニックを起こしたのか、泣き出してしまったそうです。同じ病院の看護婦さんだったためか、先生が引いてしまったとか。うーん、そんなに怖いかなー、きっと僕みたいに不自由を感じた末の決断じゃなかったのではなかろうか?と思ってしまいました。

 次に隣の県の女性が入ります。彼女はレーザーの照射時間の関係か、40分くらいかかっていたと思います。うれしそうな顔で出てきました。成功です。次に入る僕を激励してくれました。

 ついに僕の順番が来ました。が、思ったとおり精神安定剤の効き目が薄れてきたようで、だんだん気持ちが落ち着かなく。前回と同じように手術室へ入って、いすに座り頭を固定されても、返事にうなずいてしまいました。厳重注意。(汗)緊張してるのを自覚します。

 やはり前回同様、右目からです。針金のようなもので眼をカッぴらき、洗浄。前より器具が食い込んでいるのか、上まぶたの方が痛いです。吸着リングのテストの後、装着されます。今度は最初から、左目を閉じました。右目が暗くなるのがはっきりと判りました。ジー、というマイクロケラトームが通過する小さな音の後、吸着リングが外されます。「大丈夫、今回はちゃんと切れてますよ」先生の言葉に、思わず「やった!」と言ってしまいました。

 そしてレーザーの照射です。やっと僕の訓練が生かせるときが来ました。体に力が入っていると眼球がブレてしまうので、力を抜いてリラックスしなければなりません。白い視界の中の赤い点滅を見つめます。…が、実際にそのときになると、頭の中で曲を演奏するなんてまるで出来なく、必死に見続けるので精一杯。(大汗)頭の中では時間をカウントしてました。32秒が長く感じます。「はい、オーケー」と言う声でやっと緊張が解けました。先生はフラップを戻しながら、「なかなか度胸がいいね」と言われましたが、それってあの看護婦さんのことがあったからそう思えるんじゃないかな?と思ったり。僕はもう、一杯一杯で。

 そして左目の番です。右目と同じように眼をカッぴらき、洗浄を受け、マイクロケラトームでフラップを形成します。こちらは初めての手術なのでマイクロケラトームも1回目用のを使用しました。すでに右の視界が白いですから、ブラックアウトを感じるのはたやすかったです。レーザーの照射。これですべてが終わりのはずです。…しかし!照射中に赤い点滅がぼけて!!!緊張のためか、眼が動いているようです。助手の方に「ペルシャさーん、しっかり見てくださーい」と何度か言われますが、なかなか集中できません。すでに頭の中で時間をカウントする余裕すらなく。それでも必死に集中しようと、何かを赤い点滅の先に思い浮かべることにしました。

 そのとき、必死な僕の頭に浮かんだのは、猫の「との」の姿でした。僕の家の玄関で座って休んでいる(ちょうどウチのバナーと逆向き)「との」。後の照射がどのくらいだったら覚えていません。気がついたら終わっていました。フラップが元の位置に戻されます。

 いすから降りたとき、すでに「見える」のが実感できました。白いのが、湯気で曇った眼鏡をかけた状態に良く似ています。手術室にいた先生方に何度もお礼を言いました。前の中断のこともあって、うれしくて堪らなかったのです。手術後の検査があるまで、保護用のサングラスをかけてしばらく休むように言われます。視界は白いですが、見えるので、トイレへも楽に行けました。鏡を見ると、両目とも白目に円い充血がありません。前回は暗くなったのに気づくのが遅れて、吸着リングが吸い過ぎになっていたのだろうか?と思いました。検査では、フラップの戻り位置も問題なく、視力は両目とも0.6出ています。角膜に「皺」が見つかりましたが、時間が経つにつれて元に戻るそうです。これは誰でもらしく、僕は「デカールにマークソフターをたらした直後みたいだな」と思いました。うーむ。

 親父の運転で病院を後にしました。夕暮れで車のライトが目立ちます。光の見え方についてよく観察したかったのですが、白っぽいのでちゃんと判断できません。今までは全体的にまぶしかったのが、光点を中心に放射状に細い光が伸びているようです。カメラでいうと絞りを絞ったのに近いと思いました。

 僕の目は痛みが出るタイプだと判っているので、痛み止めを飲んで寝ました。少しちくちくとしてきました。前回よりも痛みが強いようです。必死なとき、「との」が思い浮かんだのは、愛していた存在だったからでしょうか?ただ、僕を助けてくれたような気がしました。あいつを肉眼で見てやりたかったです。

  次の朝、起きてみると、前日より格段に見えるようになっていました。眼鏡をかけていないのに遠くが見えているので、感覚が変です。ただ、資料の通り当初は軽い遠視になるようで、周囲1mくらいがぼけています。両目を見比べると右が若干回復が遅いようです。2回目だから仕方ないか、と思いました。更に僕の眼は回復に時間がかかるタイプなのが判っていますので、不安もないです。視力変動を繰り返しながら、3ヶ月くらいで安定するでしょう。定期的に点眼薬を使わなくてはならないのですが、クラビットが沁みます。特に器具が食い込んでいた右の上まぶたが特に。こちらはちょっと心配。

 午前中に診察があったので、そのまま運転して病院へ向かいました。視力を測ってみると、両目0.9出てます。クラビットの沁み、については眼球に異常はないので、しばらくしたら取れるだろうと言われました。午後から、伊達眼鏡を作ろうと、眼鏡屋さんを5件はしごしました。仕事中、不意に物が目に当たったりするのから保護するために買おうと思ったのですが、これが非常に高いです。フレームを一緒に買うとレンズ代サービス。しかし、レンズだけ買おうとしても安いところで9千円なのです!その見本についている素通しのレンズじゃだめなんですか!!(怒)

 眼鏡を買うならやっぱり韓国だ!と改めて思いました。(笑)何しろ日本で作ったら僕の眼鏡はフレーム、レンズ込みで5万円ほどしますが、同じ物を韓国で作ったら1万円で出来てしまいますから。伊達眼鏡は、一時保留にしました。それにしても外の寒さが目に刺さるようです。いかに眼鏡で目が気温の変化から守られていたかが、実感できました。

 以後、経過を「両目日記」より抜粋。(笑)

11月19日■前日から朝まで起きていた疲れのせいか、調子が悪い。点眼薬を使うと一時的にシャープな視界になるのは、角膜が点眼薬の表面張力で綺麗な形になるからか。しかし、今日は効果なし。視力変動のようだ。両目0.6くらいか。親父の友人が眼鏡屋さんだと判明したので、お願いして安くレンズだけ入れ替えてもらうことに。ニコンの「VIDA」という厚さ2mmのプラスチックレンズで、もちろんS(近視)もC(乱視)もゼロ。しかしかけてみると画質の劣化が激しい。裸眼にはかなわないことを実感した。

11月21日■遠視は変わらず、白いのは取れてきている。夜、光を見ると、角膜の傷が光の筋となって現れる。荒いサンドペーパーで擦ったような感じ。虹も見える。このままなのか、傷が治るに従って光の見え方が変わっていくのか判らない。

11月26日■左0.8、右1.5出た。この病院は精度がいい。理論視力が出ている。回復に不安があった右目のほうが、なぜか治りが早い。左は初めてなので、角膜がびっくりしているのか?はたまた右がこの手術に慣れたのか?(笑)左に目やに成分あり。しかし無理にとろうとしなくて良いそうだ。これが0.8の原因か?機械測定で度数がプラス0.5、手術後の戻りを考慮してやや遠視気味になっているらしい。注意を受けたのは目が乾燥していること。ドライアイではなかったはずだが、眼鏡の保護が無くなった分、目が乾燥しやすくなっているようだ。

12月6日■左1.0、右1.2。昨晩から調子よく、光のにじみがなくなるが、明日はどうなるか判らない。

12月17日■特に変化なし。白っぽい感じはまだあるが、近くがぼけるのはかなり緩和されてきた。角膜が安定してきた頃なので、伊達眼鏡の使用を止めた。

2004年1月14日■左プラスマイナス0.0で1.2、右プラス0.75で1.5。乱視は両目とも機械測定では出ていない。右が若干遠視気味。年末にもらった点眼薬すべてが切れてしまって、そのままにしていたのが原因なのか、目が乾いているそうだ。たっぷりソフトサンティアをもらう。

1月23日■右は1.5のままだが左が相変わらずぼけている。0.8だった。2回目の超精密検査。また貴重な機械を借りてきているのだ。今度は2台ともあった。この間体験できなかったのは、レーザーで角膜形状と視力を計った上に写真を撮るもので、同じようなものがこの病院にもあるが、精度が上らしい。もう1つのほうは前回と同じ。やはり「勘」が入る。またまた「非常に良い」との結果が。…大丈夫か?この機械。先生に驚くべきことを言われる。左の角膜に傷が発見されたのだ。原因はドライアイで、瞬きによって生じたものらしい。深刻な状態ではないが、注意が必要とのこと。一般の人でも日によって出来ることがあるそうだ。保湿に気を配らなければ。


 そういったわけで僕は今、裸眼で左1.2、右1.5あります。完全な状態になるにはまだ3ヶ月くらいかかるでしょうが、非常に快適に過ごしております。なんと言っても理論どおり、物が実物大に感じられますし、眼鏡で物を見ていたときよりぜんぜん疲れません。こんなことならもっと早く受けるべきでした。損してきたなー、と思うのです。まさか30歳過ぎてから月の模様や天の川を肉眼で見れる日が来るとは思いませんでした。メリットは大きいと感じます。自然がこんなに美しいとは思いませんでした。

 しばらくはいろいろなところにドライブに行きましたね。これは、TVやビデオカードを買い換えるたびに映像作品を見直す方だったら、僕の気持ちが判ると思います。暖かくなったら、思い出の場所を次々と訪れてみる予定です。目の話は次回で一応の区切りとしたいと思います。続く


■主観と客観その6 04/01/25

 保護用のサングラスをもらって休んでいると、しばらくして先生に呼ばれました。話によると、中断はフラップの中央にピンホールができたからとのことです。結果から推測される原因は、目が乾きすぎていたのではないか、というものでした。

 つまり、僕の目は完全乾燥すると一部が平らな(へこんだ?)状態になったようで、マイクロケラトームがまっすぐ通過した際、平らな部分が切り残されてしまったというわけです。
■一般の方の角膜表面
乾燥しても丸い形を保ったまま。
■僕の角膜表面
乾燥すると一部がへこんだ形になってしまった。

 大変申し訳ないが、と先生はおっしゃられてましたが、僕は悔しかったです。現在の検査ではこういった特殊な眼は判らないそうで、回復を待ってから、改めて手術するしかないということでした。僕もこんなことで、視力回復をあきらめるわけに行きませんから、いろいろ今後について先生に聞きました。まず、順調に回復すれば3ヶ月から6ヶ月で再手術可能だそうです。僕は、半年も我慢しなければならないのか…、と落ち込みましたが、角膜を早く治す努力をしようと思いました。

 手術後は2つの内服薬と、4つの点眼薬をもらえます。

睡眠薬 ■内服薬
その名の通り眠れないときに使います。
痛み止め ■内服薬
ほとんど痛みの出ないLASIKですが、痛みが出たときに使います。
クラビット ■点眼薬
目の感染症を治療する、ニューキノロン系抗菌薬。
ソフトサンティア ■点眼薬
目の傷を治したり、目の乾燥を防止する薬です。
ヒアレイン ■点眼薬
ソフトサンティアと同等の効能ですが、より粘り気の強い人工涙液です。
フルメトロン ■点眼薬
副腎皮質ホルモンで、目の炎症やアレルギー症状を抑える薬です。

 角膜を早く治すのに適した食事(栄養素)は特にないので、4つの点眼薬をきちんと使うのが肝心とのことです。携帯電話のアラーム機能を使って、決まった時間に正しく点眼することにしました。内服薬は1日分出ました。

 手術代金が返還され(僕の場合、クレジットカード清算の取り消し)ます。治るまでの費用はかからないそうなので安心しました。本当は片目で運転はいけないのですが、帰路につきました。右目の視界は真っ白で、なるほど、これは成功していたとしてもその日の内は帰れないな、と思いました。ただ、僕の眼の状態が判ったので、今後、僕の家族が同じ手術をするときの助けになるはずです。角膜保護用コンタクトの違和感を感じます。

 眼を見ると、白目のところが丸く充血していました。吸着リングのせいです。これは仕事に出ると気持ち悪がられるかも、と思いました。

 家に戻り、すぐ寝ることにしました。起きているより早く目が治る気がしたのです。用意した競泳用の水中眼鏡を装着します。寝ている間に、不意に眼を触ったりしないためです。しかし3時間ほどで目覚めてしまいましたので、しかたなく溜まっている映画DVDを見てすごすことにしたのですが、眼がちくちくしてきました。眼にまつげが入ったときのような痛みです。僕の眼は痛みの出るタイプでもあったのです。我慢できない痛みではないのですが、物事に集中できません。疲れます。やむを得ず、もらった痛み止めを飲みました。薬の効果と疲れのせいでぐっすりと寝れました。

 次の日起きると、やはり右目の視界は白いままです。白い、というのはちょうど眼鏡が湯気で曇ったのに似ています。手術直後よりはましですが、嫌な感じです。痛みはなくなりました。検査を受けることになっているので、また片目運転で病院へ向かいました。視力を測ると右目が0.6になっていました。

 切っただけで視力が上がるのだから、目はすごいな、と思いました。先生によると、角膜が腫れた状態なので一時的に視力が上がっているらしいです。白い視界は、ちょうどマイクロケラトームが通った断面がすりガラス状になっているので、そう見えるのだとか。治るにしたがって白い曇りがなくなり、視力が元の状態(僕の場合0.03)になるそうです。家に戻った頃、眼が治る努力をしているのか、無性に痒くなりました。触らないように努力。

 以後、経過を「右目日記(笑)」より抜粋します。

5月21日■右の視力が上がっているため、現在の眼鏡で度がまったく合わなく、距離感がつかめない。白っぽいのは変わらない。白目の充血は相変わらず。

5月23日■大分白いのが取れてきたが、まだだめ。先生に若い割に治りが遅いと言われる。食生活が悪いせいか?また、マイクロケラトームが目のどの方向から切っているのか知る。下から上に刃が通っていたのだ。なるほど、上から下だと瞬きしたときにフラップがめくれるかもしれないと、妙に納得。風呂に入るとき、もう水中眼鏡は要らないはずだが、僕の眼が特殊で治りが遅い、ということから、2週間は使い続けることにする。

5月28日■23日と変わらず。ヒヤレインの使用量が少ないと指摘を受ける。目が乾燥した感じがなかったので、ほとんど使わなかったのだが。どんどん使うことにする。回復が遅いのは角膜保護用コンタクトのせいで、薬の効きが悪いのではないか?

6月4日■距離感はつかめて(慣れて?)きたが、視力変動がある。時間帯なのかどうか判らないが急にぼけたり、焦点が合ったりする。相変わらず白っぽい。角膜保護用コンタクトを外してもらう。やはり異常に怖い。コンタクトは使えない。大分気温が上がってきて、汗もかくようになってきた。この視力回復手術は夏場、向いていないのではないか?眼に汗が入って感染症を起こす心配があるからだ。

6月11日■白いのがかなり薄くなってきたが、夜、ネオン光を見るとまだまだ元に戻ってないと判る。光の周りがボーっとぼけている感じ。白目の充血は完全に消えた。

6月17日■少し目が霞む。感覚的に一週間前と変わらない。当初もらった点眼薬すべてが切れそうだ。

6月18日■僕自身で目の霞を自覚しているが、確実に元に戻っているらしい。予定通り3ヵ月後に再手術出来そう。無くなった点眼薬のうち、ソフトサンティア以外が、保険で支払うことになる。治るまでの費用はかからないと聞いていたので腑に落ちない。しかし薬だけは仕方がないらしい。ヒアレイン2、クラビット1、フルメトロン1で1680円(税込み)。

7月2日■昨晩は調子が悪かった。白いしぼけるし視力変動も激しい。もう一生治らないのではないかと、ひどく落ち込む。先生によると、傷はもう判らないが、切った断面がすりガラス状なので、本人にだけは自覚できるのではないか、とのこと。クラビットとフルメトロンは切れたら使用をやめてよいそうだ。

8月1日■ほとんど元の視力になる。白いのもほとんど判らないくらい。だが、視力変動の自覚がまだある。先生に薬は全部必ず使うように言われる。ヒヤレインをまた保険で。効能が無料のソフトサンティアと変わらないのだから、今度からソフトサンティアでまかなえばお金を節約できるのでは?

9月3日■手術直後の視力は0.6、3週目から0.54〜0.57を変動。以前のデータで再手術できないことはないが、精度を高めるため、完全安定を待つことになる。あと2ヶ月は必要だとか。やはり半年になってしまった。ただし、すでに手が入っているため、今の状態で安定している可能性もあり。

10月1日■僕のことがあってから、この病院の手術方針が変わったそうだ。以前は完全に乾いた状態でマイクロケラトームを使っていたが、ほんの少し濡れた状態で行うようになったとのこと。失敗する可能性が減ったわけだ。皆さん、僕に感謝するように。(笑)視力は元より良いままだが、安定しているようなので、11月か2004年の1月(12月は仕事の都合で無理)に2回目用のマイクロケラトームで再手術ということになった。時期は僕の希望次第である。10月末に日本でもそう何台もない精密検査機械を借りて来るそうなので、やってみるかどうか尋ねられた。精度と成功確率を上げたかったのでやります!と即答。

10月29日■超精密検査。2台借りられる予定だったが、手違いで1台だけになったとか。その機械は「C」の文字(ランドルト環)がランダムに回転しながらコントラストが低くなっていくもので、開いている方向にレバーを倒すもの。片目ずつ行い、一定時間のデータをとるのだ。ところが先生は「見えなくても勘でやってね」という。「僕も見えなかったんだけど、結構それで当たるから」とも。いいのか?それで。(汗)やってみると確かに途中で霞んで、向きが判らないところが出てくる。しかし、やらないと先に進まないので、えいっ、と勘でやったりした。結果は、両目とも「良い」だった。特に、視力が上がったまま固定された右目がずば抜けている。先生はすごいね、と言っていたが、それって、僕の勘が鋭かっただけじゃあ…。いいのか?それで。(大汗)手術の日程だが、春の韓国を楽しみたいので、11月17日を希望した。僕の眼は半年で完全安定するので、ちょうど良い。僕の眼は幸い、角膜が厚いので、地下鉄の下に地下鉄を作るようにスライス可能で、次の手術に危ういところはないらしい。

11月12日■視力に関わるものを除いては、前回のデータをそのまま使うことになる。再採血がなくてほっとする。再検査費用もかからず。先生から不安になるようなことを言われた。「医者がこんなことを言うのは変だけど、万が一、万が一また今回のようなことが起こったら、それは神様が止めておけって言うことじゃないのかな」うーわー、なんてことを。何度でもやったる!という決意でいたのに、後が無くなった感じがする。


 そして11月17日、再手術の当日を迎えたのです。続く


■主観と客観その5 04/01/22

 前回、書き忘れが少々。まず、LASIK手術費用の28万円というのは、手術当日の検査と薬の費用および術後の定期検査(手術翌日、3日後、1週間、2週間、1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後)の費用が含まれています。更に僕が利用した総合病院では、カード払いが利きましたので、またマイレージを貯めることができます。(笑)これが割安感をより感じた理由です。

 後、欠点のところで書き忘れたのですが、

・アイバンクにドナー登録ができなくなる

 角膜を加工してしまうので当然といえます。アイバンク登録をすでにしている、もしくはこれからしようとしている方に、この手術はお勧めできません。

 僕は事前にトレーニングをしました。それはレーザー照射しているときに眼球を動かさないように考えたものです。心を落ち着けるのが1番重要だという結論に達し、僕が昔から好きだったなるべくアルファ波が出そうな音楽(笑)を繰り返し聴いて、30秒を肌で覚えるというものです。頭の中でその音楽を演奏できるようになれば、集中している時間が判るのでよいと思いました。

 そして手術の当日5月19日を迎えました。前日は「光の見え方が変わる」ということから、散歩して見え方を覚えておきました。13時30分までに病院へ。独りで向かいました。1日は見えないそうなので、病院に泊まるか、誰かに家へ連れ帰ってもらわなければならないのですが、僕は職場の同僚に術後、迎えに来てもらう予定でした。

 この日手術があるのは僕1人だけだそうで、院内はがらーんとしていました。最後の検査と説明を受けます。

 手術の3日前から「クラビット」を点眼していたのですが、ちょいと沁みます。先生に聞くと、「ん〜、普通はそんなに沁みないんだけどねぇ」と。僕は嫌な予感がしました。この頃はついてなかったのでかなりマイナス思考になっていたのです。でも努力してプラス思考へと考えを持っていくことにしました。

 錠剤を飲むように指示されました。精神安定剤です。僕はトレーニングしてきたので、こんなもの使わなくても、と思いましたが、効果はてき面で、どんどんマイナス思考がなくなっていきます。トレーニング+錠剤、これは楽すぎる手術だぞ、と思うようになりました。

 マイクロケラトームを使う際の「吸着リング」について説明を受けます。吸着リングが作動すると先生に「暗くなりましたか?」と聞かれるので、状態を申告するように言われました。眼に圧力が加わるので、いわゆる「ブラックアウト現象」が起こるのです。暗くなったときこそ、マイクロケラトームを動かせる状態になったときなのです。

 点眼麻酔を受け、いよいよ、手術の時間です。入り口で白衣と髪を覆うキャップを装着し、眼鏡を外します。この時点で僕の視界はすべてぼけます。そしてエア・シャワー室を通った後、手術室に入りました。

 ほとんど寝ている状態のいすに座り、位置調整後、頭を固定されます。ちょうど血圧を測るように頭を空気圧で締め付けるのです。返事をするときはうなずかずに声だけでするように注意されました。手術は右目、左目の順で行われます。僕が見たビデオでは、片方の目を布で覆っていたのですが、実際は覆われることなく進みました。

 そして針金のようなもので眼をカッぴらきます。これが痛いです。何しろ麻酔は眼球にしか効いていないのです。感覚で言うとずっと頬をつねられている状態、でしょうか?(笑)

 次に消毒液で眼を洗浄します。「右向いてぇ〜」「左向いてぇ〜」「上向いてぇ〜」「下向いてぇ〜」と、どぼどぼと流す感じでかけられました。その後、いすが回転させられ、左の写真の位置へ移動しました。「」の場所からレーザーが出るのですが、僕の眼には黒い空間に赤い点滅が見えます。レーザー照射時は30秒ほど、その点を見続ける努力をしなければならないのです。

 水分をふき取った後、マーキングがされます。ペンが当たっている感じがしますが、痛みはまったく感じないです。吸着リング。テスト後、眼に当てられます。室内の照明が落とされ、薄暗くなりました。

 ここで気づいたのですが、Aの部分の周りがメッキ処理されていて僕の眼がよく見えます。嫌だなー、と思いました。

 吸着リングが作動します。「暗くなりましたか?」と聞かれてもよく判らず、「これが暗い状態なのかな?」という感じで「はい」と返事をしてしまいました。後から考えると、もっと早く左目を閉じればよかったです。やはりビデオのように左目を布で覆って欲しいな、と思いました。

 トレーニングしたアルファ波の出る音楽を頭の中で演奏。ジー、という電気髭剃りと似た小さな音がしました。圧がかかっているせいか、触っている感じもしません。10秒くらいで器具が取り外されます。さあ、これから本番だ、と気合を入れました。

 その後、麺棒のようなもので形成された「フラップ」をめくっているようでしたが、何度か位置を直しているようです。右目の視界は白く、何も見えないような状態。いやに時間がかかるんだな…、と思いました。それとともに嫌な予感もしてきました。先生から信じられない言葉が!

 手術が中断!確率2%に当選してしまったのです。嘘…、思わず口から漏れました。がっかりする気持ちで頭がボーっとしてきました。フラップが元の位置に戻され、コンタクトレンズを装着されます。手術室を出て、しばらく休むように言われました。続く

■主観と客観その4 04/01/08

 眼科医でレーザー手術の説明と手術の流れについてのビデオをいただきました。それを見ながら検査までの間、メリット・デメリットについてさらに考えてみたのです。

・コンタクトにしたとして、歳を取ったとき震える手(笑)で装着脱できるのか?
・できなかったら結局、遠くを見るとき眼鏡のお世話になっちゃうぞ。
・さらにコンタクトをしていて眼にごみが入ると、想像を絶する痛みがあると聞く
・思えば、今まで眼鏡でずいぶん損してきた。スポーツもしづらいし、実物大で見れてもいない。
・人生の半分以上、金魚と同じく水槽越しに偽物の風景を見ていたようなもので、あまりにもったいない。
・これからもその状態で生き続けて後悔はないのか?
・僕は好きな韓国の風景を肉眼で見たい!

 とまあ、こんな思考で。(笑)もし検査に通ったら、レーザー手術を即決しようと思いました。検査費用は通る、通らないにかかわらず
万円(税別)です。ほかに、

・30歳以上であること
・矯正視力1.0以上であること
・医師のいうことを理解できること

 が条件です。30歳以上というのは、視力が安定していて、近視が進む恐れが少ないためだそうです。希望があれば、それ以下の方(18歳から)でも受けられます。再手術も可能ですから。矯正視力1.0以上というのは角膜の厚みの関係で、レーザーで削れる量に限界があるためです。ただし、1.0以下でも満足できる方はこの限りではありません。次の医師のいうことを理解できる、というのはかなり重要です。(笑)当たり前のことですが、最近は日本語が理解できない人も増えてきてますからね。(実感あり。爆)

 検査は以下の通りのものでした。
検査項目 検査内容
1.問診 問診表に記入し、現在の症状をチェックします。
2.視力検査 裸眼視力と矯正視力の両方を測定します。
3.眼圧検査 目の硬さを調べます。緑内障がないか調べます。
4.コントラスト・グレア検査 視力とはまた違う「見やすさ」の検査です。
5.角膜知覚検査 角膜の知覚の敏感度を調べます。
6.涙液検査(シルマーテスト) ドライアイの有無を調べます。
7.角膜形状検査(トポグラフィー) 角膜の凹凸を調べます。
8.角膜厚検査 角膜の厚みを調べます。
9.視野検査(ハンフリー検査) 眼球を動かさない状態での、見える範囲を調べます。
10.眼底検査 網膜など眼の奥のほうに異常がないかを調べます。
11.屈折、角膜屈曲検査 角膜のカーブの程度の検査です。
12.細隙灯顕微鏡検査 角膜を顕微鏡で拡大して観察する検査です。
13.角膜内皮検査 角膜の内側(内皮)の細胞を顕微鏡で観察して異常がないか調べます。
14.血液検査 感染症などの有無を調べます。

 コンタクト使用者は7、8、11の検査を2週間の装着禁止後に行います。コンタクトによって角膜の形が変わっているからです。また、10、11、12、13の検査は、散眼のための点眼後に検査します。

 実際は、視力測定のあと、角膜の厚み、形状をレーザーで測定しました。角膜の厚みが適正(中央で550μm)で無いと次の工程に進めないのです。すぐに結果が出ました。僕の角膜は一般の方より厚く、手術に理想的なものでした。正常な視力を得ている眼は以下のようなものです。

■正常な眼球
角膜を通った光は、角膜と水晶体で屈折し、網膜で焦点が合います。

 ところが、僕の眼は近視&乱視です。

■近視の眼球
角膜の屈折する力が強いか、もしくは眼球が長いため、網膜より手前で焦点が合います。網膜上で像がぼけて映ります。
■乱視の眼球
角膜の屈折が縦、横、斜めの方向によって均一でないため、通過した平行光線が、一点で結合しない状態です。像がぼけたり、二重三重に見えます。

 角膜の形状は、PCモニタ上に等高線の形で現れました。乱視なのに角膜形状はほとんど均一でした。眼球が長く、完全な球でないための近視&乱視だったのです。一般の方の長さは25mm程度なのですが、僕は右眼が27mm、左眼が26.95mmでした。頭蓋骨の成長過程において、なので遺伝と、眼球をあまり動かさない生活(眼の収まっている場所は左右よりも前後のほうが長い)が原因と見られます。

 次の工程へ進みます。ここから本来の検査、なのです。眼圧測定は、専用の機械でパルス性の空気を眼球に吹き付けられました。パシッ!と、空気がくるので、怖かったです。かなり苦手。これで眼の硬さを調べるのです。ちょうど眼球は空気の入ったボールのようなもので、低いとそこから破れる可能性だってあるのです。レーザーで削る手術なので、なお更です。また、高いと緑内障の心配が出てきます。緑内障は視野が失われていく病気で、40歳以上では17人に1人の割合でかかり、自覚が出たときはもう遅いという、恐ろしいものです。早いうちなら目薬で治るらしいので、例え僕みたいに手術目的でなくても、30代になったら、1度は眼科で精密検査を受けたほうがいいと思います。

 もう1度眼鏡による矯正での視力検査。理論値どおりの値が出るかどうかを調べます。1.0ぎりぎりでした。コントラスト・グレア検査は、だんだんと薄くなっている模様をどこまで見えるか調べます。これは問題なし。

 知覚検査は、最初は細い「毛」のようなものを眼に当てて感じ方を調べます。ぜんぜん痛くなく、(例えるなら、眼にちょっとごみが入った程度)でした。次に点眼麻酔をした状態の知覚を検査します。僕は点眼麻酔、というものをしたことがなく、こんな物で本当に痛みがなくなるのか?と懐疑的だったわけですが、一滴たらして30秒後には見事に効いてました。最初はみかんの汁を入れられたような「沁みる」感じがしますが、10秒後くらいには弱いジーンとした感覚に変わります。激しい検査棒を当てられても当たっている感じだけで痛みをなんとも感じません。効果は30分くらい持続するそうです。実際の手術もこの麻酔を使うということで、手術に対する恐怖感がなくなりました。ただ、僕の知覚は一般の方よりも敏感なようです。

 涙液検査は、下のまぶたの目じりに近い部分に試験紙を挟み、10分間ほどの濡れ方を調べます。異常なし。僕の目はやや涙が少ないながら、ドライアイではないそうです。

 視野検査は緑内障問題とも絡んでいます。内側が白く塗ってある球体の中を覗く形で右手にスイッチ。球体は不規則に何箇所か開けられている穴から光が出ます。眼球を動かさずにその光が見えたらスイッチを押します。右、左と順に機械がデータを得るまで続けるのです。最初はよかったのですが、片方を目隠しされた状態で白い世界をじっと見ていると距離感が失われ、じーんと眼なのか脳なのか痺れてきます。星が飛んだり。(笑)最後には光っているのかどうかも危うく。適当にスイッチを押したところもあったと思います。(爆)まあ、本当に見えてなかったら、緑内障なわけですが、どうやら僕は正常だったようです。

 そして眼の奥を診るために瞳孔を開く薬を点眼されます。20分くらいで効いてきました。瞳孔が開くので、光がまぶしくなります。この検査のため、車の運転をしないように、といわれました。僕は車できていましたが、検査が終わる頃は夕方なので普通に帰れるだろう、との考え(だろう運転はやめよう!)です。また、近くが見えづらくなり「擬似老眼」が体験できます。待合室の本を読んで薬が効くのを待っていましたが、だんだん距離をとらないと読めなくなりました。最後には腕をまっすぐ伸ばさないと見えなく。なるほど、これは不便。効果は1日程度持続するそうで。

 血液検査。採血室に行って血を取られます。僕は注射が大の苦手で、今回の検査で1番怖く、痛かったです。こればっかりは看護婦さんパワーがほとんど効きませぬ。(爆)

 十分に瞳孔が開いたのを確認して、先生に診てもらいます。異常なし。

 前回も書きましたが、レーザー手術は
PRKLASIKの2種類が主流ですが、今はほとんどがLASIKらしいです。術後の視力の戻りがPRKが「可能性がある」のに対し、LASIKは「可能性がほとんどない」のも大きなメリットです。だから僕もLASIKで考えていました。その工程は以下の通り。


1.眼を消毒、水分を取り、ずれ防止のマーキングを入れます。

2.マイクロケラトームというカンナのような物で角膜表面を薄く剥ぎ取り、フラップを形成します。

3.フラップの端はヒンジとして残します。

4.フラップをめくります。

5.角膜の深部実質層をエキシマレーザーを照射してスムーズに削ります。

6.フラップをマーキングに合わせて元の位置に戻します。

7.フラップは自然に接着させます。

 怖いようですが、これが片目15分程度で、痛みなく行われるのです。

 検査は午後2時から始まって、終わったのは午後4時でした。車で夕暮れの道を帰ったのですが、さすがに瞳孔を開く薬。まず手前のスピードメーターがぼけて見えません。そして前を走る車のテールランプがまぶしいです。まだ完全に夜になっていないからいいようなものの、これで対向車のライトが点いていたら、危ないです。何とか家にたどり着きましたが、僕は検査後の運転はお勧めしません。(笑)

 次の日、検査が通った知らせを受けました。手術の日は、早ければ早いほどいい、という僕の希望を受けて、5月19日月曜日に決まりました。3日前の金曜日から、1日4回、消毒・殺菌用の「クラビット点眼液」を点します。

 先生に「もうちょっと視力がよければ楽なんだけど、1.2以上視力は出る」といわれ、うれしくなりました。「大体わずかに近視を残して手術をするのだけど、どうします?」と聞かれたので、「目一杯でお願いします!」と希望しました。ここで不安な点がないか聞かれました。実はレーザー手術にも
欠点あります。

・老眼が健常者と同じ時期に来る

 近眼だと、老眼の時期が健常者より遅らせることができるのです。だから「わずかに近視を残して」という話になったのです。僕はくっきりと物を見て生きていきたいので、ぎりぎりまで視力を出すことを優先しました。たとえ視力の戻りがでてきたとしても、現在はそれを抑えるいい目薬があるそうなので、くっきり生活は維持できるらしいです。

・光の見え方が変わる

 削ることによって今までより若干まぶしく感じるのと、光に虹ができることです。暗いところだと瞳孔が開きます。レーザーの直径は約5mm、瞳孔がその範囲を超えて開くと、削ったところと削っていないところの境目で屈折率が変わるため、光に虹が見える現象が起きるのです。見え方が変わるのは、すぐ慣れるそうです。虹ができるのかどうかは人によって差があり、実際は削ってみるまで判らないそうです。こちらは「賭け」ですね。

・3日間ほどお風呂に入れない

 水が目に入ると感染症を起こすのです。仕事を休まなくていいのはいいですが、僕の仕事は接客業。風呂に入らないのはまずいので、競泳用の水中眼鏡を用意して対処することにします。ただ、「あんまり守っている人はいないね」とのこと。いいのか?それで。(笑)まあ、感染症を防ぐ目薬も使うそうなので大丈夫なのでしょうが。

・パイロットや深海作業員になれない

 いまさらなれませんて。(笑)眼球の一部が薄くなるわけですから、気圧、水圧に弱くなるのは仕方ありませんが、サウナ程度の高温は大丈夫です。

 僕には視力が出ることに比べると、たいした問題に思えませんでした。僕の不安は、主に手術中のことです。

・工程2番目のマイクロケラトームが通過する時間と、通過している間、眼が動かないか?
・ビデオで聴いてはいるが、エキシマレーザー特有の「パンパン」という音はどのくらいの大きさなのか?


 という物。先生によると、マイクロケラトームの通過時間は10〜20秒くらいで、眼が動かないよう、「吸着リング」というもので眼を吸いつけてしまうので、動かそうにも無理だということです。人によっては、吸着の副作用で円く充血が残るらしいですが、それも1週間ほどで消えるそうです。

 エキシマレーザーの音は試しに聞かせてもらうわけには行かず…。さほど驚く大きさではないとのこと。もし僕がびっくりして眼を動かしても、すぐにレーザーを止められるので大丈夫らしいです。手術のビデオを大音量で聴いて慣れることにします。

 また、手術が中止、あるいは中断せざるを得ないときを聞いてみましたが、怖がってしまっての中断、とか機械が合わなかった、とかどうしても痛みが出てしまったとかで、めったにないそうです。年間1人出るか2人出るか、そんな程度で。僕の眼の場合、検査の結果を見る限り大丈夫とのお話でした。

 不安は完全になくなりました。怖い気持ちが完全にないといっては嘘になりますが、それ以上にこの後訪れる、すばらしい視界の期待が大きかったのです。

 手術のビデオを何度も見ましたし、水中眼鏡も用意しました。あとはエキシマレーザーで削っている間の30秒くらいを眼球を動かさない、という僕の努力だけです。続く


■主観と客観その3 04/01/05

 で、コンタクトをしようと即、眼鏡屋さんにいくのは簡単ですが、僕は自分の目に対してほとんど知識がありません。コンタクトについての知識もほとんどありません。また、以前から気になっていた矯正法がありました。それはレーザー手です。いろいろ判らないことについて話を聞きたかったので、レーザー手術を行っている病院付属の眼科へ向かいました。

 まず僕は「眼鏡からコンタクトにしたいが、レーザー手術も考慮に入れている」旨を伝えました。

 正確な視力測定の結果、僕の近視は思っていたより進んでいたことが判明しました。機械測定だと「-5.5D」くらいです。裸眼で18.2cmまでしかはっきり見えてないことになります。これ位の視力になると眼鏡を2つ使い分けたほうがいいらしいです。遠くを見る用と近くを見る用と。確かに今の眼鏡は読書を長時間しているとかなり疲れます。なので、そういうときは昔の度の弱い眼鏡も自然と使っていました。正しかったのですが、この生活がわずらわしいのも事実です。

 先生と話す中で判ったのは、コンタクトでは視力1.5を出すのは難しいというものでした。気分が落ち込みました。それでも実用視力の1.0は出るようなので、まだましというものです。試しに1時間ばかりコンタクトを装着することになりました。装着、ですが、これが異常に難しく、怖い!僕が想像した以上にコンタクトレンズは大きいです。看護婦さん2名に押さえつけられ「目だけ下向いてくださーい」とか「大きく目を開いてくださーい」とか何度も言われながら、その通りに出来ない自分の体にいらいらしました。なんと、装着にかかった時間15分!!看護婦さんが若くてかわいくなかったら、とても我慢できなかったでしょう。(爆)

 コンタクトを装着した感想は、少し目の中でごろごろする感じと、視界の開放感でした。やはり理論通り、眼鏡より物が大きく(実物に近く)見えます。面白いのは、急に視線を動かしたときで、ぼけた一瞬後、焦点が徐々に合うところです。目の動きにコンタクトレンズがついていけなくなるのです。これで球技は難しいかも、と思いました。ごろごろした感じは時間が経って慣れれば緩和される、とのことでしたので、1時間ほど待合室で様子を見ることになりました。暇なので、待合室にあったレーザー手術についての本を読んで過ごします。思ったよりも手術が深刻なものでないのが驚きでした。

1.レーザー手術は
PRKLASIKの2種類が主流
2.PRK、LASIKともに片目15分ほどで手術が終わる
3.PRKは手術工程が簡単であるが、術後に痛みが少しあり、視力の安定に1週間から数ヶ月かかるので、片目ずつの手術になる
4.LASIKは手術工程がPRKより複雑であるが、術後の痛みはPRKに比べずっと少なく、視力は翌日からかなり回復するため、両目同時に手術できる
5.術後視力が戻る可能性もあるが、絶対に元よりは悪くならない
6.コンタクトレンズは失明する場合があるが、レーザー手術の場合はない
7.手術の失敗、中断を余儀なくされる確率がわずか2%

 かなり興味が沸いてきました。特にLASIKですと翌日から視力が回復するので、仕事を休まなくてよく、メリットが大きいです。が、問題は「手術」という行為への恐怖と費用です。

 前にも書いていますが、日本人の60%が当たり前な状態になっているので、近視がれっきとした病気であることを知る人が多くありません。フランスはちゃんと病気として扱われているのに対し、残念なことに日本では、眼鏡やコンタクトレンズを含む近視矯正のすべての方法が自己負担になっています。近年話題になっている医療費負担の問題を考えても、今後、保険が適応される可能性はないといっていいでしょう。

 LASIKの料金を聞くと、両目28万円(税別)。僕が前に聞いていたときは40万円でしたから、圧倒的に安いです。なんでも、最近値下げしてこの金額になったそうで、とてもいいタイミングだと思いました。それにしても、手術といういまだ受けたことのない状態への言い知れぬ不安があるのは確か。コンタクトでもいいかな…、と思いかけた頃、コンタクトお試し時間の終了が来ました。最後まで、目からごろごろする違和感は取れませんでした。

 うーわー!勘弁してくれーっ!!!

 また看護婦さん2名に押さえつけられながら、コンタクトレンズをはずしてもらいました。今度は入れたときより時間がかかりました。怖い、もうたくさんだ、と思いました。コンタクトレンズは汚れるために装着したままで生活、というわけには行きません。出し入れのたびに合計30分ほど苦労するのなら、いっそ、手術で30分我慢したほうがましだ、と思いました。しかもレーザー手術は完治した後、メンテナンスフリー。僕がずぼらな性格で、定期的にコンタクトの入れ替えが出来るかどうか自信がなかったのもあります。(笑)

 そういったことを先生に伝えると、一応、適応検査を受けてからでも遅くないので、じっくりと考えてから決めてもよいのでは、とアドバイスされました。そう、レーザー手術には適性検査があるのです。僕の体が手術に向いているのかどうか。これがだめなら自動的にコンタクト生活なわけで。

 早速、紹介状を書いてもらい、病院のほうに検査の予約を入れてもらったのです。適性検査の日は2003年5月14日水曜日。よく晴れた春の日でした。続く

■主観と客観その2 03/12/20

 「主観と客観その1」からの続きですが、日本人の60%がお世話になるアクセサリーといえば「眼鏡」があります。

 僕は近視で眼鏡をかけています。小学校5年からずっとです。高校の頃、オーディオの音質だけでなく、ビデオの画質にもこだわっていた僕は、友人に「画質、画質というけど、眼鏡かけてるのに判るの?」といわれました。そのときは「何いってるんだ」と思いましたが、今、改めて考えるとその通りだと思います。

僕の使っている韓国製の2ポイントフレーム。 いろいろ研究してみたところ、眼鏡はこの趣味に対してデメリットがかなりあります。まず、眼鏡というのはフレームとレンズで構成されているのですが、音に対してはフレームが骨振動を阻害します。それも重要な鼓膜のそばで。レンズも眼前で音波の作る円の波紋を乱します。しかも眼鏡はオーディオで1番よいとされる「重くて丈夫で鳴きにくい材質」を満たしていません!(爆)レンズは小さく、ガラスで…とすると、理想に近づきますが、骨振動の問題は残ります。

 また、近視が進み、眼鏡をどんどん強い度数のものに買い換えた経験を持つ人なら判ると思いますが、「度数が強くなると実物より物が徐々に小さく」見えませんか?これは気のせいではありません。視力を矯正することによって、どのくらい物が小さく見えるかは、以下の計算式で求めることが出来ます。

S.M.=1+LD 

 S.M.とは、「Spectacle Magnification」の略で、網膜に映る像の大きさの変化を意味します。Lはレンズから瞳までの距離(m)で、Dはディオプターで眼鏡の度数を表します。近視は頭にマイナス(−)をつけて、遠視はプラス(+)をつけます。Lは眼鏡の場合は約15mm(目から眼鏡までの距離)で、コンタクトレンズの場合は約3mmとなります。

 近視の度数は以下の表でおおよその値が得られます。

裸眼ではっきり見える距離(cm) 度数(-D) 裸眼ではっきり見える距離(cm) 度数(-D) 裸眼ではっきり見える距離(cm) 度数(-D)
無限 0.00 13.3 7.50 6.7 15.00
400.0 0.25 12.9 7.75 6.6 15.25
200.0 0.50 12.5 8.00 6.5 15.50
133.3 0.75 12.1 8.25 6.4 15.75
100.0 1.00 11.8 8.50 6.3 16.00
80.0 1.25 11.4 8.75 6.2 16.25
66.7 1.50 11.1 9.00 6.1 16.50
57.1 1.75 10.8 9.25 6.0 16.75
50.0 2.00 10.5 9.50 5.9 17.00
44.4 2.25 10.3 9.75 5.8 17.25
40.0 2.50 10.0 10.00 5.7 17.50
36.4 2.75 9.8 10.25 5.63 17.75
33.3 3.00 9.5 10.50 5.56 18.00
30.8 3.25 9.3 10.75 5.48 18.25
28.6 3.50 9.1 11.00 5.41 18.50
26.7 3.75 8.9 11.25 5.33 18.75
25.0 4.00 8.7 11.50 5.26 19.00
23.5 4.25 8.5 11.75 5.2 19.25
22.2 4.50 8.3 12.00 5.13 19.50
21.1 4.75 8.2 12.25 5.06 19.75
20.0 5.00 8.0 12.50 5.0 20.00
19.1 5.25 7.8 12.75 4.88 20.50
18.2 5.50 7.7 13.00 4.76 21.00
17.4 5.75 7.6 13.25 4.65 21.50
16.7 6.00 7.4 13.50 4.55 22.00
16.0 6.25 7.3 13.75 4.44 22.50
15.4 6.50 7.1 14.00 4.35 23.00
14.8 6.75 7.0 14.25 4.26 23.50
14.3 7.00 6.9 14.50 4.17 24.00
13.8 7.25 6.8 14.75 4.0 25.00

 僕の場合は、裸眼ではっきり見える距離が20cmまでなので度数は「-5.00」です。これからすると

1+0.015×-5.00=0.925

 なんと、7.5%も縮小して見えていることになります。50インチのTVを買って喜んでいたものの、僕の脳には46.25インチの大きさでしか伝わっていなかったのです。ショックでした。120インチのスクリーンで映画を楽しんでいる、という記事をホームシアター系の雑誌でよく目にしますが、僕と同じく眼鏡矯正の度数-5.00の方は、111インチにしか伝わらないのです。120インチを得ようと思ったら、129.7インチを購入しなければいけません。「眼鏡をしている限り、一生、実物大で物を感じることが出来ない」のです。これは、僕の趣味である模型でも一緒です。1/100スケールの18cmモデルも16.65cmで1/108に見える有様。大問題です。さらに眼鏡は、完全に矯正できる「スイートスポット」がただ一点しかなく、少しでも視線を動かすと、とたんに像が甘くなり、対象はゆがみます。顔にフレームが合っていないとなお更です。

 では、コンタクトレンズを使うとどうでしょう? 

1+0.003×-5.00=0.985

 1.5%の縮小で済みます。ほとんど影響がない範囲といっていいでしょう。もちろん骨振動を阻害するフレームもありませんし、矯正のスイートスポットから外れることもほとんどありません。写真を趣味としている人には常識ですが、どんな高性能なレンズでも、裸眼に比べると情報量が減ります。簡単にいうと暗くなり、ぼけます。これはレンズの厚みが増えるほど顕著になります。コンタクトレンズは目の直前で矯正するので、レンズは薄く済みます。眼鏡に対して圧倒的に有利です。

 ところがオーディオ雑誌でこれだけ重要なアクセサリーについて、何も触れていません。「音によい眼鏡レンズとフレーム」だとか「音によい服装」という記事があってもいいようなものですが、いまだに目撃したことがありません。オーディオ・ビジュアル系のホームページでもこのことに触れている方は居られません。

 装置で、あんなにも電気信号の流れに神経をとがらせてるのに、自分の脳への伝達経路に無頓着なのはなぜか?観測者である自分自身についてこんなにも無神経なのはなぜか?偏っているとしか思えません。

 プロ・アマを含めてオーディオ・ビジュアル装置を語ろうとするなら、せめて観測者の健康状態だけでも載せていただきたいものです。(笑)そういうこともあって、僕はコンタクトにしてみようかな?と思うようになったのです。続く


■主観と客観その1 03/12/19

 僕は高校の頃からオーディオにはまり始め、限られた予算でよい装置を買おうと、オーディオ雑誌を読み始めました。それはもう、発売される雑誌すべてに目を通しました。

 僕は文系ですが、科学が大好きで、中でも実験が大好きでした。理論を構築して証明することが魅力だったのです。オーディオ雑誌の記事のほとんどは、さまざまなメーカーのさまざまな価格帯の装置を組み合わせて理想の音を作る、というもの。その意味で非常に科学的な趣味だと思いました。ですが、僕はオーディオ雑誌の記事に、何かが欠落している感じを常に受けてました。

 それは観測者のデータです。オーディオ雑誌の評価はかなり、というかほとんど主観で装置を評価しているといってよいでしょう。そういう点で言うと、測定装置に当たるのが観測者のはずです。その測定装置が正確かどうかが判らずして正しいデータが伝わるかというと、疑問です。

 入れ歯をした料理評論家の食感が参考になるでしょうか?音の聞こえ方は観測者によって違っているはずです。僕の経験と理論から言うと、以下のところで変わります。

1.耳の大きさ
2.年齢
3.体調
4.髪型
5.体型
6.服装

 1は両手を耳に寄せるだけで容易に音が変わります。

 2は結構重要で、たとえば普通のブラウン管タイプ4:3のTVのスイッチを入れると、16KHzの「強烈な」音が発せられる(NTSC方式は、走査線525本の半分が1秒間に書き換えられるので、525÷2×60=15750Hzがブラウンから放射される)のですが、これが聞こえないようなら、もうスーパーツィータとか、超高域再生とかいってもあまり意味をなさないと思います。僕がこの音を1番よく聞こえたのが小学校2年のときで、外から家の中でTVがついているかどうか判別できたものです。大学の頃もよく聞こえてましたが、さすがに小学校2年のときよりも鈍くなってました。今現在も聞こえますが、大学の頃よりは確実に鈍くなっているのは判ります。

 3は風邪を引いたときなど、普段どおりに聞こえなくなります。耳とつながっている鼻と脳に異常をきたしているのですから、当たり前といえば当たり前ですが。

 4と5は似ています。スピーカーから発せられる音波が、水面に広がる波紋のように円周状に広がるのが理想としているように、観測者(リスナー)の体型や髪型は円に近い方が有利なはずです。頭の形が丸いなら、坊主頭のほうがいいかもしれませんが、髪の毛で吸音効果を得ているはずなので、カットアンドトライで自分に合った「オーディオ用髪型」を研究してみるのもよいと思います。さらに鼻は高いほうがチャンネルセパレーションがいいはずです。(笑)また、人間は耳だけでなく体でも音を聞いています。骨振動というもので、直接頭蓋骨から鼓膜へ伝わる音です。体型は丸いほうが有利ですが、肉は骨振動を減衰させますので、体脂肪も重要な要素といえます。

 6は吸音、反射をつかさどるアクセサリーと考えていいと思います。多分これも4と5にかかわってくる問題でしょう。アクセサリーというと日本人の60%がお世話になるアイテムがありますね。僕もお世話になっていますが、これもオーディオ・ビジュアルの趣味では特に重要なものだと思うのです。前から気になっていたので少し研究してみることにしました。

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