■もうあと1マイル■
気の向くままに書いていこうと思います。


■新共鳴管F-4トルネード10/07/21

 7月17日の早朝完成しました。正確に言うと16日の夜から配線とユニット取り付けで徹夜してしまったのです。さまざまな事情により、設計から完成まで2年2ヶ月かかってしまいました。振り返ると感慨深いです。

 結論からいうと今回のスピーカーは成功です。作っている間は、多少失敗している方が面白いと考えていました。(工夫して行くのもまた楽しみ。なので残念ながらバスレフアダプターの出番はなく。笑)成功かどうかの判断は狙い通りにいったかどうかですが、

 今回の目標→ハイカノンの音質を維持しつつ、ソリッドな低音を得、スペースを取らないこと、です。充分達成しています。

 大成功といえないのは、工作でいろいろと不手際があり、結構パテのお世話になってしまったこと。そして余分な出費を強いられたことです。それは、折り返しの曲面工作を効率と精度の悪い手段で行いリテイクしたのと、ファストン端子のTL12-205M(8)です。FE208ESとFW208Nの端子に合わなかったのです。もう1回り大きな物にすべきでした。購入時、販売店にメールで事前確認をしていたのですが、手違いがあったのでしょうね。2年経ってしまってますから交換も申し出られず、反省点です。

[試聴]

 部屋に持ち込んで最初に思ったのは、「大きい」ということです。設置面積はハイカノンより幅が40mm、奥行きが25mm増えただけなのに、実際はそれ以上に感じます。幅が一定のまま上まで伸びているせいでしょうか?

 ユニットの位相は、
 T90A→逆相
 FE208ES→正相
 FW208N→正相
 となりました。

 最初、モアイのウーファーと組み合わせていたとき同様、FW208Nを逆相にしてみたのですが、今ひとつ。正相で綺麗につながりました。その状態で定位置にセット。F-201ハイカノン+SS-66モアイのウーファー部との比較をしてみました。
長期中断で熱が冷めきっていたこともあり(汗)、今までになく客観視出来てると思います。

 一聴してハイカノンより音が澄んで音場感も向上しているのは、キャビネットの重心が下がって安定感が格段に上がり、ビクともしないことと、ウーファーのダイカストフレーム自身、補強になっているのが利いているのだと思います。

 フルセットのモアイと比べても質が遜色ないです。多少雑味がありますけれど、これはバスレフと共鳴管の特性上、仕方ないところでもあります。雑味がある代わりにDレンジが圧倒的に広く、細かい音も再生。ボリュームを絞っても音がボケません。音が残ってボーボーする感じもなく、瞬発力、キレも良いです。もちろんモアイよりも低域が伸び、圧力も倍増。感動しました。

 それにしても超低音が含まれたソフトを再生すると、ドキッとして冷や汗が出ますね。ここまでとは思いませんでした。怖い位です。当分これで映画を楽しみたいと思います。

[ネーミング]

 僕は、今まで3つのフロアタイプを設計しました。

 1号機FE106Σ1発の共鳴管→低音が稼げないばかりか、ボーボーいって6畳和室で鳴らなかった。
 2号機FE106Σ1発のTQWT→1号機と傾向変わらず。むしろ低音が減ってTQWT形式に不信感を持つ。
 3号機FE208ES+T90A各1発の共鳴管→ハイカノン2nd。設計後中止。

 ということで形式番号F-4とし、音の印象から「トルネード」と名づけました。


[問題と解決法]

 予想通りFE208ESに対しFW208Nの能率が不足で、3dB程度足りません。専用端子をつけて正解(AVアンプで4.1chにも発展可能!?)でした。バイアンプを利用してレベルを調整。FE208ESをFE208EΣにすると1台のアンプでバランス取れるかもしれませんが、迫力は後退する可能性があります。

 さて、なぜ良かったのか。問題の切り分けをしなければ、次への発展がありません。考え得うるのは以下の項目。

1.バックロードホーン用空気室分の空間を設けてロードをかけた(絞り率0.9)こと
2.音道の擬似テーパー化を狙い、三角材で断面積を調節したこと
3.音道折り返し部分を硬い材質で曲面化したこと

 
折り返しの曲面化

4.共鳴管の1/3の位置に別のユニットを設置したこと
5.断面積の設定が適切だった


 本当は1つずつ要素を追加しながら試作出来ればいいのでしょうが、資金も場所も無いアマチュアである僕には、作ってしまった物を以下の方法で推測するほかありません。

 A.FE208ES+T90Aのハイカノンと同じ構成で駆動した場合
 B.FW208N×2のみで駆動した場合
 ※それぞれ駆動外のユニットは、端子をショートして電磁制動をかけた状態でチェックしました。

 Bについては、もちろんコイルを通さない状態で試聴(音に成りませんからね)。

[効果検証]

 Aの状態では、ハイカノンより中低音が不足。共鳴管断面積が1発ではドライブできない模様。超低音はハイカノンと同等に出ています。反面、ボーボーする感じは皆無に近く、締まりはハイカノンより上です。

 Bの状態では、思ったよりまともな音です。ウーファーで、しかも側面対向配置のため、スピーカーとしてはどうか、という音域ですが、厚みのある超〜中低音で共鳴管をドライブ出来ている様子。こちらでもボーボーする感じは皆無に近いです。

 少なくとも締まりは
、ボーボーする感じはが、超〜中低音の総合出力はから判断できると思います。おおむね理論と設計は間違っていなかったのでは無いでしょうか?特にの1/3の位置にウーファーを側面対向配置にしたのはメリットが大きいと思います。


 共鳴管断面積について、実はハイカノンでちょっとした実験をしたことがあるのです。U3側の音道を狭めてみたのです。明らかに低音の出力が増しました。僕が常用する音量では、ユニットが空振りする断面積なのでは無いでしょうか?ハイカノンを一般家庭(部屋面積8畳程度)で使うならオリジナル設計の奥行き375mmを330mm程度にしたほうが良いと思います。

 最後に。完成から毎日8時間以上音楽を流しっぱなしにしているのですが、ウーファーがエージングされて出力が徐々に増していったのは面白かったです。2日ほどでトルネードに慣れてきましたが、相変わらずキャビネットが大きく感じますし、音質は僕の部屋にオーバークォリティと感じます。まるでカウンタックを手に入れたのに徐行運転しているような気に。(それでも以前じゅんしぃにハイカノンの常用音量でボリュームを絞るように言われましたが。笑)たぶんトルネードは30畳ほどの部屋でも充分戦えるスピーカーだと思います。

 そこで別のアイディアが沸いてきました。

 
a.幅240mm奥行き360mmとして構造とウーファーはそのまま、メインユニットをFE168EΣ(FE166En)とする。ツィーターはFT96HかFT17H辺り。
 b.
幅210mm奥行き300mmとして構造はそのまま、ウーファーをFW168N×2とし、メインユニットをFE126En×2とする。メインユニットは直列16Ωとし、レベル差を解消。1台のアンプで駆動できるように(合成インピーダンス3.2Ω)する。メインユニットは一方に3.3μFのコンデンサーを入れ、ツィーターとして(6kHz3dB/oct)使用。

 いわゆるダウンサイジングですが、やる価値があるのは
案。スマートになりますのでルックスは良く、音場感も向上すると思います。そのうち図面を引いてみるかもしれません。さて、舞台を降りたハイカノン、どうしましょうか。再利用案として、トルネード同様にウーファーを追加するのも良さそうです。


■新共鳴管経過報告その209/01/27

 僕はスピーカー工作でエポキシパテを使うときは、迷わずセメダイン社の「水中用エポキシパテ」を使用しています。新共鳴管でも滑らかにするために使用しています。


まず、2枚重ねのフロントバッフル。
テーパーをつけてみました。
初めてやってみたので効果は謎。悪くは無いと思いますが。

そして難易度の高い問題である「折り返しの曲面」です。
奥行き270mmの100mm×100mmをR100でえぐった形。
それが左右ch分、計4つ必要です。
当初、角材、三角材の土台+エポキシパテで作業を進めていたのですが、
水中用エポキシパテは、高速度鋼コーティングのヤスリが必要なくらい硬く、
綺麗な曲面を出すのに時間がかかりすぎます。
削っては盛り、を繰り返してコストもかさんでいきました。

計画では、

エポキシパテを盛る

Φ200塩ビパイプにサランラップ貼り付け、
メンソレータムを塗ってエポキシパテに押し付け


という簡単な工法で済むはずでしたが、
何と!このエポキシパテはサランラップを接着してしまったのです。
ホンのわずかの凹凸でも食いつく信頼性抜群の性能ですが、
今回は裏目に出てしまいました。

エポキシパテの処理で四苦八苦しているさなか、僕の頭の中で
心配の種が芽生えだします。

「曲面が揃っていないと音色が変わってしまう」

 ただの密閉型エンクロージャでさえ出来、不出来で音色が変わってしまいます。そしてフォステクスのユニットは生産数の関係からか、ユニット1つ1つにばらつきがあることが報告されてまいます。新共鳴管は片ch当たりウーファ×2、フルレンジとツィータが各1の計4つのユニットを使用します。完成時、出来が偏ってしまったら…。(恐)


 頑張って見たのですが、僕の技術では4つの曲面を高精度で揃える事は出来ない、と思いました。そして思いあたったのは、NCによる加工でした。NCで厚い板を希望の形で切り抜き、長谷弘のスピーカーのように積層するのです。30mm厚9枚積層で希望の270mmになります。

 ただ、この方法が本当にできるのかどうかわかりません。3つの材質で可能かどうか業者に相談してみました。MDFとラワン合板、そしてシナアピトンがよさそうだと思いました。

 結果、可能でした。「但し、先端部分は切削抵抗により、多少破損する可能性があります。成型は、MDFが一番適していると思われます。構造上、シナアピトン・ラワンベニヤでは、前述した先端部分破損の可能性が更に高くなります」だそうで。コストはMDF<ラワン合板<シナアピトン。ラワン合板はMDFの1.2倍、シナアピトンはMDFの2倍でした。

 すでに1万円を超える投資をしていた部品、時間もかけていて愛着もわいてます。相当迷いました。しかし、ここは精度が必要、新しい試みに対する興味で思い切って仕切りなおすことにしたのです。頭の中で故池谷仙克さんの言葉が蘇りました。

「これはよくありませんねぇ、仕切りなおしましょう」

 夢二のアルバイトのとき聞いた言葉です。MDFを選択、注文しました。


2週間ほどで到着。
右が仕上げ途中の曲面。4つ同時進行でした。
左がNC切削されたMDF。先端の欠けはありませんでした。
また、この業者は欠けに対するマージンで多めに部材をサービスしてくれました。
これからも当てにさせていただきます。(笑)


NC切削MDFは、さすがの精度です。
材質のおかげもありますが、9枚並べても狂いが1mm以下です。


■新共鳴管経過報告その108/12/05

 だらだら進めていた工作ですっかり冬に突入です。今回は新しい試みをいくつかしていますが、工作でも初めて釘でなく、木ねじを使用しています。アルミ製のコーススレッドというもので、釘に比べて引き寄せる力が強く、2枚重ねの多い今回の設計にぴったりだと思い、採用しました。


2.5mmのドリルで下穴を開け、5mmのドリルでさらい、木ねじを入れます。
コーススレッドは特にそこまでの下準備がいらないのですが、
いくつかねじ穴がバカになってしまったため、用心する事にしたのです。

木ねじの利点は、静かに作業できるというのがありますね。
深夜でも大丈夫。反面、釘打ちより時間がかかり、
電動ドライバーがないと苦しいのが欠点。


合板のプライ層にけっこうスが入っていたので、木工用パテで埋めています。
久しぶりのシナ合板は、明らかに質が落ちているように感じます。


ザグリのおかげで爪付ナットを面で打ち込めました。


しかし僕の図面に指定ミスが。
M5の爪付ナットは穴が6.5mmだったのだ!
ドリルで開けなおし。
うかつでした。次回からはちゃんとチェックしたいと思います。


接着は去年から使い始めた「フランクリン・タイトボンド」。
これがいいのです。
コニシの木工用ボンドと違い、弾力が残らず硬化後の切削が可能という、
楽器製作に使われている水性接着剤です。
もっと早く知っていれば。
SS-66モアイなんか、これで作りなおしたい気分ですよ。

 タイトボンドは硬化すると薄いベージュ色になります。アメリカからの輸入品なので、やや高価でありますが、今なら円高ドル安でかなりコストパフォーマンスのよい状態でしょうね。


■初めてのスピーカー工作08/06/12
 現在、新共鳴管は板材の発注が終わり、カット中です。僕が車検を1年勘違いしていたため(笑)、工作前倒しできたのです。発注先はNCカットしているので、バッフル裏に右図の加工を入れてもらうことにしました。僕はモアイの記事以後、ユニットの取り付けは爪付ナットを入れることにしています。鬼目ナットも工作でよく使われているようですが、ユニットを何度も取り外ししたり、強いテンションをかけると板が負けてしまってバカになりやすく、現にそういう事例を何度か拝見しました。

 そういったことで、先にボルトが折れる爪付ナットがお気に入りなのです。今回のバッフル裏の加工は、ハイカノンの反省からです。ハイカノンはバッフル2枚重ね。爪付ナットは2mmほどの厚みがあり、そのままでは2枚重ねできず厚み分のザグリを入れるのにてこずりました。技術の進歩のおかげで楽になりましたね。

 さて、久しぶりにスピーカー工作熱が高まってきたのですが、周囲を見渡すとオーディオという趣味ははっきりと衰退しています。それに合わせて自作スピーカーという趣味も衰退しているように見えます。しかし、今回スピーカーを作ろうとパーツを調べてみたのですが、工作環境としてはさほど悪くなく、むしろ90年代くらいに回復してきているのではないでしょうか?国産のユニットメーカーは減りましたが、海外ユニットが増えていますし、カーオーディオユニットを含めると国産メーカーは元気です。そしてカットについては前述の通り精度は上がって、さらにインターネットで発注可能な時代に。

 僕の趣味を聞いて模型クラブの会長さんがスピーカー工作に興味を示した(メーカースピーカーが猫害に遭って残念な状態になっているとか。笑)ことがきっかけで、もし今の僕が過去の自分に勧めるならどれを選ぶだろう?と考えてみました。

 6畳間で、パイオニアのS-55ツインとS-101Cを使用していた僕は、ある日フォステクスのフルレンジFE103(16Ω)を片ch2発使用した小型バスレフ形式のスピーカーを手に入れます。確かにfレンジは狭いのですが、Dレンジが広く、バーチカルツインで擬似同軸スピーカーのS-55ツインより圧倒的に音場感が優れていたのです。こんなに安いスピーカーなのに!!録音の状況が再現され、ワンポイント録音と思われるソフトでは、空間に音像が見えるようでした。

 刺激的な音が出るかもしれない。けれど補正回路のない鮮度、音場感は聴いたことがありません。以後、ステレオ誌の工作特集をきっかけにはまってしまったのです。

 昔はメーカー品より安く同等以上のスピーカーが作れるところを売りにしてましたが、人件費が安い国での大量生産品になった今のメーカースピーカーよりコストパフォーマンスについて、良いとはいえません。ただ、自分の部屋に合わせた形、大きさ、使い方が選べる点が大きな特徴。ということで6〜8畳くらいの部屋向きのスピーカーを2点選んでみました。基準は低価格、フルレンジ1発、今後自分が作りたい、です。

「BS-85ミッキー」
 

 まず1点目はBS-85ミッキーです。長岡氏がFE103用に設計したダブルバスレフ形式で、通常のバスレフ形式より低域が延びています。記事は編集ミスによりインピーダンス、f特が掲載されませんでした。本文によるとダクトが大きすぎた(ユニットがダクトをドライブし切れなかった様子)ため、具体的な数値で修正プランが書かれていました。僕はそれにしたがって図面を引きなおしました。fdは同等になるよう設定してあります。

 ユニットはFE103系、またはFE127系(穴はΦ104に変更)。ダブルバスレフは磁気回路が強力でありながら、f0が低く能率が低いユニットが向いていますので、フルレンジで使えるウーファーがいいかもしれません。ターミナルはT150(P-24)系を指定しておきます。

 このままでもいいですが、記事中FE103の能率が高すぎるため、相対的に低音不足であることを触れています。BS-85は400KHz以上がフラット、320Hz以下は中高域に比べるとレベル低下は見られるが、標準バスレフよりかなり高く50Hzは中高域比−5dB、40Hzは-10dB。長岡氏曰く、「PSTを利用して400Hz以上のレベルを10dB落とせば凄いシステムになる。10dBで市販品なみ。」とか。一応PST回路も紹介しておきます。多少鮮度を犠牲にするかもしれませんがやってみないと判りません。抵抗はユニットのインピーダンス同等前後のものを使用。4Ωで3.5dB、8Ωだと6dB。16Ωだと9.5dB落ちます。大電流が流れるので20W以上を選んでください。下図は10Ωですが、BS-85は16Ωがいいでしょう。


PSTの概略。
8Ωユニットに対して400Hzということなので、
厳密にいえばコイルは0.159×8(Ω)/0.4(kHz)=3.18mHが必要です。
トリテックのコイル(エポキシモールド推奨)だと近似値ありますね。


 2点目は点音源バックロード形式D-109です。長岡氏はFE-83を片ch2発使用のD-108コブラを設計。そして低域を伸ばすため、もっとf0の低い10cmユニット仕様のバリエーションとしてD-108Sサイドワインダーを設計されました。この蛇シリーズのペットネームの由来は、胴体がスパイラルホーンでユニットを耳の高さまで伸ばした形がとぐろを巻いた蛇を連想させるところからきています。そしてFE88ESの登場でD-108は一回り大きく再設計され、D-109キングコブラとして発表されました。

 キングコブラはコブラに比べ、よりバックロードホーンとして動作しており、非常に良好な特性を見せています。ところが今回は8cmユニット仕様があまりに上手くいってしまったためか、10cmユニット仕様のバリエーションが発表されませんでした。僕は10cmユニット点音源バックロードホーンとしてD-109に大きな可能性を感じました。以前スーパースワンを使っていましたが、6畳間には大きいです。占有床面積が370×375mmですが背面開口のため、壁との間を20cmは離したいところ。そうすると370×575mmと大型フロアスピーカー並にスペースを取るのです。その点D-109は450×400mmで開口を前面にすれば壁に押し付けることが可能です。ユニットの周囲30cmに何もない状態は維持されるので、音場感が阻害される心配もありません。そんなわけでD-109のバリエーションを設計しました。ペットネームはサイドワインダーより一回り大きな同じガラガラヘビということで「ダイヤモンドバック」と名づけました。

「D-109Dダイヤモンドバック」

 
15mm厚サブロクシナ合板2枚使用します。
ネックとボディはねじ止めとし、部屋に合わせ向きを変えられる。

 ユニットはFE108EΣを想定してます。FE103系も使えます(穴はΦ93に変更)が、やや中だるみになると思います。また、FF125K/FE126E(穴はΦ104に変更)もぎりぎり使えます。コストパフォーマンスでFF125K/FE126Eは1番でしょう。ターミナルはT150(P-24)系を指定しておきます。ユニットが付くヘッドを140角にしたのは、スーパースワンのように160角でR15のラウンドをつけるより効果が高いと思ったからです。

 D-109Dがスーパースワンより優れていると思ったのは、組み立てやすさと原理です。部品点数と工程が少なく、音道の長さがすべて違って癖が出にくく、折り返しが90度でスムーズなため、効率が良いことです。僕はハイカノンの実験から、スワンタイプはすべて音道の曲面化工作必須と思っており、今まで考えられた以上に工作難易度が上がってしまいました。反面、スワンタイプより負けそうなところはボディの剛性と重量です。スワンより構造が簡単なので、床の状態によっては余計な音が付いてしまうかもしれません。重量不足についてはボディ平面部が大きいので、鉛インゴットを載せて充分補えます。ルックスもスワンタイプに比べ圧迫感がありません。ヘッドから下を黒く塗装すると、ミニスピーカー+巨大スタンド風に見える?(笑)

 不透明塗装前提ならMDFを使うともっと低価格で作れます。響きが少ないアダルトな音になると思います。スタンドが用意できるならBS-85、音場感重視ならD-109D、どちらもお勧めです。


■新共鳴管を設計してみた08/04/19
 大画面に負けない共鳴管を。F-201ハイカノンを含む長岡鉄男氏設計の共鳴管は最終的に皆「ソリッドな低音を求め」サブウーファーを追加するようになるようです。

 共鳴管の最低共振周波数(f0)は長さで決まり、さらにその3倍、5倍の周波数でも共振します。例えば長さ3mであれば28.3Hz、84.9Hz、141.5Hzが強調されます。低音が拡散しないように、コーナーセッテイングすることにより、25Hzくらいまで十分な伸びを見せますが、同じユニット使用のバックロードホーンにくらべやさしい低音になります。

 皆がサブウーファーを追加するのは、音楽再生に充分でもアクション映画の銃撃音や爆発音を再生したとき、実感が脳内予想より少なく、さびしく感じてしまうのが原因ではないでしょうか?僕もご多分に漏れずSS-66モアイのウーファー部を使って低音の力強さを付加していました。

 今年までこの状態でいいじゃないか、と思っていましたが、実際にプロジェクタの大画面で再生すると物足りなさを感じてきました。それはモアイのウーファー部は40Hzまでの再生。さらに僕の部屋は木造フローリングで低音が逃げやすい(逆に言うと低音が残らず切れが良い)ためではないか?僕のシステムに30Hzを付加できたらどうだろう。

 しかし、サブウーファー追加はいいのですが、現用システムにうまくマッチングを取って設計したり、購入ともに難しいことは以前デジタルアンプ導入時に判明しています。長岡鉄男氏もオーディオアクセサリー1993年冬号(71)の「超低音研究3自作スーパーウーファーに挑戦」において、「スーパーウーファーを作るより、超低域再生可能なスピーカーを作るほうがやさしい」と結論付けています。

 また、サブウーファーを追加できる人は、空間にゆとりのある環境である人であり、床面積9畳で最低3組(共鳴管、バックロードホーン、バスレフ)のスピーカーを同居させたい僕には無理な話です。

 以前、ハイカノン2ndと称してハイカノンを拡大した設計をしたことがあります。結果的に着工しませんでしたが、それはあのままでいいのか?という疑問がぬぐいきれなかったからです。強力なユニットにあわせてただ拡大しただけで何の工夫もありません。それに同じようなことを実行した記事を読むといずれもやはりサブウーファーの世話になっています。

 そろそろオリジナルが作りたかったことと、前述の長岡氏の言葉「超低域再生可能なスピーカーを作るほうがやさしい」に力づけられ、以前からしてみたかった実験をかねた新方式共鳴管を考えてみました。

 構想。バスレフとダブルバスレスの関係からスタートしました。バスレフ方式は内容積とパイプによって特定周波数を共振(fd)させます。図のbはバランスが良いとされるfdをもつ箱の周波数特性(f特)。aはfdが高いとき、cはfdを低く取りすぎたときの特性。cはかなり下まで伸びますが、中低域が落ち込み、最低域の音圧も不足します。対してaは音圧が上がる代わりに早めに低域が切れてしまいます。

 ではcの箱にaの箱を組み込めば低域を延ばしつつ、音圧も得られるのでは?ということで考案されたのがダブルバスレフです。

 共鳴管は特性としてcに似ています。そして陸続きなバックロードホーンは設計がマッチするとbの特性に近くなります。共鳴管の中低域の落ち込みを何らかの方法で埋めるのが肝心。

 それが今回の設計です。ベース、ジョイント、トップパイプの3つの部品で構成されます。

1.共鳴管に空気室を設けてロードをかけたらどうなるだろう?(擬似バックロード)
2.共鳴管をウーファーでドライブしたらどんな音が出るのだろう?
3.最初からサブウーファー込みの共鳴管を作れないか?

 1は共鳴管とバックロードの特性を合わせた状態にならないかと、補強を兼ねた
三角形部品「1011」で構成しました。メインで使用するFE208ESはバックロードホーンの場合、空気室約10L、スロート断面積はユニット有効面積の約0.9倍。今回はそれに準じます。三角形部品としたのは断面積を徐々に増やし、定在波防止とホーン効果を得るためです。

 2はボーズが「キャノン」というスーパーウーファーで商品化しています。ハイカノンでもユニットさえあればできるのですが、長岡氏の製作例で芳しい結果を出していません。以下にまとめます。長岡氏の記事から抜粋。
  F-105U2 F-127ピラー F-50バック転
全長 2.1m 2.355m 2.4m
開口面積 217cu 156cu 195cu
f0 38Hz 36Hz 35Hz
片ch使用ユニット S100
ウーファーに近いフルレンジ
FT27D+FW127
ウーファーはスルーで使用
FT48D+FW127×2
ウーファーはスルーで使用
1mのf特 凹凸があり、50Hzと200Hzの間で中だるみ、高域急降下という独特の形。 1mでも3mでも120Hzぐらいに深いディップがある。迷路のディップがここに出ているのだろうか。このディップに目をつぶればレンジは広い。30Hz〜25kHzをカバーしている。全体としてはわずかにハイ上がり。 凄いピークとディップがある。今まで見たこともないような特性だ。あるいは音響迷路としての特性が強く出ているのか。
3mのf特 凹凸は少なくなるが、レンジとしては40Hz〜10kHz、ややハイ上がりという感じ。 いくらかまともになるが、凹凸は同じ傾向で残っている。しかし、40Hz〜16kHzは確保しており、低域の量感は相当なものだ。
音の感想 華やかでハイスピード、パーカッションが景気よく鳴るが、オルガン、コントラバス、チェロなどで共鳴音が残る感じもある。いわゆるボンつくのとは違い、ボーボーいうのである。特定の周波数の持続音に共鳴して出てくるので、気にしなければ平気だが、気にしだすと気になる。 密閉やバスレフと違ってウーファー後面が十分開放されているので、屈託のないのびのびとした鳴りっぷり。低音は大音量向きではないが良く伸びている。小型2ウェイを耳の高さで聴く形になるので、音像は小さく、音場は広い。 ダイナミックでハデな音だが、ボーカルがやや引っ込み気味で、音像は上下に伸びて、音場も曖昧。トゥイーターとウーファーが離れすぎている上に、クロスオーバーが高かったというのが問題のようだ。

 他にF-65Uターンがありますが、方式としてTQWTに近いので表に入れませんでした。表から判るのはいずれもウーファーをスルーで使って中高域をカットしてないことです。f特から見て低音増強効果は高いようですが、それをするとスコーカーが必要になるため採用しなかった(特にそれで大きく失敗しているのがF-50)ものと見えます。多分ハイカノンのユニットをFW208Nに変えても同様の結果になると予想(F-127に近い?)できます。

 2から3の発想が生まれました。共鳴管の折返し地点ならウーファーを取り付ける余地があり、また対向配置することにより反動をキャンセル、キャビネットの振動を抑えることができます。さらに視聴位置に対してウーファーが正面を向かないため、混変調軽減効果もあります。キャビネットの重心が低くなるのもメリット。そして共鳴管の途中に別のユニットがあるというのは、異なった長さ(共鳴)の管を並べたのと等価(共振がずれて凹凸を補ってくれる)の効果が出せるのでは?高域をカットしたウーファーを取り付けるのなら断面積もさほど増やさなくて済むのでは?特に1と3は僕の知る限り誰もやっていません。そんなことでスペースファクターにすぐれた一石二鳥、三鳥の設計になったのです。全長は3.27m。f0は26Hz、以下78Hz、130Hzで強調。開口面積648cu。ハイカノンと比べると幅で40mm、奥行きで25mm増えただけです。底面400×300mmのサイズは、4:3画面好きな僕にぴったり。(笑)

 ひとつ不安要素があります。モアイのウーファーは4Ωのユニットを並列2Ωで使用し、メインの8Ωユニットの4倍のパワーで駆動するシステム。現在フォステクスでは4Ωウーファーがなくなり、FW208Nも8Ωになっています。これを並列で使用すると4Ω。FE208ESは8Ωなので2倍のパワーしか送り込めません。モアイのウーファーをFW168N(8Ω)で作った例の感想から見ると大丈夫かもしれませんが、一応バイアンプ駆動を想定して、ウーファーにも専用ターミナルを用意しました。ハイカットフィルターはコアコイル9mHを使用、4Ωなので71Hz6dB/oct。ただし実際はインピーダンスの影響を受けて80〜90Hzクロスになると思います。まあ、保険の意味を込めてバスレフタイプにするアダプタも用意しました。(笑)ベース部分の実効内容積は78.9Lあるので充分。fdは38Hz。


 

 板取は上のようになります。トゥイーターとフルレンジが手元にあるといえ、新規にFW208Nやコイルその他の材料費で20万円くらいです。現在金銭的余裕がないため、今年の秋着工予定です。今度は確実に。

 つづく。


■DLPプロジェクタ導入その108/04/16
 もともと大画面志向がありました。しかし僕が初めに夢見た1980〜90年代は3管式プロジェクタが主流(液晶もありましたが、画素数・速度応答性共に残念な内容でした。)で、それも自動車が1台楽に買える価格。最初に意識したのはHi-Vi誌の山中敬三氏宅の「バーコビジョン」。そして僕が大きな影響を受けた長岡鉄男氏もFM fan誌の立花隆氏との対談でAVルーム建設を表明、後に「三菱→ソニープロジェクタ」を導入されました。オーディオ雑誌を読んでただうらやましく見ていたのです。

 薄型TVを導入しようと考えたときもありました。プラズマか、液晶か。しかし今の4:3で50インチを超える面積を16:9で得るには55インチか60インチを買わなくてはなりません。価格もびっくり、また修理や寿命、処分を考えると…。それにTVは所詮TV。僕の原点は映画鑑賞ではなかったか。僕にはデメリットのほうが大きいぞ。

 そうしてここ数年いろいろと観察していたところ、家庭用プロジェクタの価格がかなりこなれてきたのです。しかも僕の目を引いていたモデルが下げ止まりの様子。今導入しないでいつやるんだ、とばかりに注文したのです。

 僕の要求はというと、

■壁から壁まで3880mmを使ってなるべく大きな画面を得られること
■そのため、本体は奥行きがなるべく浅いこと
■DVDをメインで鑑賞するので720×480以上の解像度があること
■80年代ユニバーサル映画が好きなので4:3画角にも強いこと
■そのため、焼き付きに強いこと
■なるべく静かなこと
■なるべく安いこと
■低消費電力・長寿命であること

 そんなことで三菱の「LVP-HC3100」を選びました。DLPタイプです。現在家庭用プロジェクタでは大きく分けて液晶方式とDLP方式があります。液晶方式はフルスペックハイビジョンが多く魅力的(特にパナソニック「TH-AE2000」と最後まで迷い。笑)でしたが、以上の条件といろいろな情報から検討してこの機種がぴったりだと結論付けました。僕の部屋で何とか100インチ超えできそうで、3月下旬の価格は15万円を切っているのもいい感じです。 

 最初、下位グレードの「LVP-HC1100」でもいいかな?と思ったのですが、DLP特有の現象である「カラーブレーキング」が発生する体質だったらと考え、ホイール速度を変えられる機種にしたのです。

 設置準備にかかりました。部屋の模様替えです。まずパイオニアのリアプロジェクタを撤去。スピーカーを今までの位置から90度左の壁面へ移動しました。僕の選んだプロジェクタはレンズ中心からかなり上に投写されるタイプ、部屋を広く使いつつ最大画面を得るには天井付近に逆さ設置する必要があります。しかし、メーカー純正天釣り金具は希望小売価格 26,250円(税抜価格 25,000円)。天釣りは安全性にも疑問があり(長岡鉄男氏曰く、「真下で見ると精神衛生上よくないでしょう」)、さらに一度設置すると移動が不可能に近い(例えば別の機種に買い換えたとき、設置位置や残った金具はどうするのか?)です。部屋を余り傷つけたくなかったため、安く、合理的に合板でラックを自作することにしました。


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側板1枚の幅が狭いのは、放熱口を避けるためです。

 900×600の15mm厚シナ合板を使いました。木口にはシナテープを貼り、ウレタンニスで仕上げます。加工費を含めて5,000円以下で済みました。LVP-HC3100の底には純正金具用のM4深さ8のねじ穴が3つ授けられています。位置は三菱のページに詳しく書いてあったので、本体到着前に設計ができました。

 このラックを天井付近の棚に設置することにより、純正金具より高い位置で投写できるのです。この方法は我ながらいいアイディアだと思います。視聴位置の後ろに棚や家具のある家庭ですぐ導入できますね。

 LVP-HC3100は水平垂直をきっちり出す必要があるプロジェクタです。台形補正機能がありますが、使用すると画質が劣化するため、部屋の中心を計り、位置を決め、水準器で追い込みました。微妙なガタは釣り用板鉛を最低限はさんで補正します。

 ケーブル交換にラックを動かすことを考え、棚にストッパーを着けました。これで楽にもとの位置に戻せます。

 現在取り付けているケーブルはコンポーネントと同軸です。同軸は完全にLDのためだけに取り付けました。NL-5D-FB(インピーダンス50Ω)で自作したものです。LDはFM記録なのでS端子使用に疑問に思っていたことと、この自作ケーブルの画質が好みだったことで採用しました。HDMIケーブルはまだ持っていませんので、今度買って試したいと思います。



まだ部屋が片付いてませんが。(笑)

 1インチでも大面積をねらい、スクリーンは4:3の100インチを選択。ものぐさな僕はスクリーンを頻繁に収納しないだろうということで壁掛け型にしました。長岡鉄男氏が以前スクリーンのテストで、スプリング型が誤って収納されてしわになってしまったエピソードを書いていたことも壁掛けを選んだ理由です。4:3は今人気がなく大幅割引、17,000円以下で手に入りました。

 設置してみて、F-201ハイカノンは本当にスクリーンのために設計されたスピーカーだと思いました。スリムで特に4:3スクリーンにベストマッチ。スクリーンは壁にぴったり付いているので、スピーカー間に何もないのと等価です。音場感が大幅に向上しました。これはラックや薄型TVを間に入れていたら味わえませんね。

 つづきます。


■デジタルアンプ07/05/27
 PMA−2000UとPMA-2000のコンビは満足できる音質でした。しかし、好みが変わったのか僕のエージング(老化)のためか、物足りないところが出てきました。弦に艶が乗って美しく、中低域は厚みがあるものの、最低域に迫力がなく、映画を見ていると気持ちよくないのです。例えばジュラシックパークの恐竜の鼻息、声。トゥルーライズの爆発音など。もともとそういった録音なら納得いきますが、劇場のシステム(必ずしも家庭用よりクォリティが高いとはいえない)で体感していますので、家でも再現してみたいと強く思うようになりました。

 今までの経験から原因はスピーカーかアンプ。このどちらかで改善できると思いました。一時は低音専用スピーカーを新たに増設しようと考えました。しかし低音用にうまくマッチングが取れるスピーカーが設計、購入ともに難しいことが判明。それに僕がメインで使っているスピーカー、ハイカノン、モアイは長岡鉄男氏や加藤元章氏によって低音の瞬発力について折り紙つきです。アンプを変えてみようと思いました。

 コストパフォーマンスを第一に考える僕に、10万円を越えるオーディオ機器はいつも厳しい選択(ビデオ機器は除く。笑)です。しかもスピーカーの都合上必ずバイアンプにしなければなりません。どうせなら、一気にセパレートアンプへ、と決定したのでした。以下の条件で探してみました。

■低音の駆動力が特に欲しい
■中高域は現状程度が確保されていればよい
■入力は2系統くらいでよい
■プリアウトは2系統以上
■トーンコントロールやLRバランスは使ったためしがないのでいらない
■デザインがシンプル
■価格は安いほどよい
■消費電力が少ない

 最後の消費電力ですが、PMA−2000UとPMA-2000をコンビで使っていると電気料金と環境が心配(僕は使い捨て電池を使用するものが嫌いです)になり、精神的に長くソフトを楽しめません。特にPMA−2000シリーズはなぜかスイッチを入れてから1時間程しないと低音に「芯」が入らない(その前に使っていたソニーのTA-F555ESXもそうでした)のです。また、発熱もすごく夏厳しいです。といったわけで21世紀のアンプ、フライングモールのデジタル式に注目したのです。スイッチオンからすぐに最高性能を発揮できるのも僕のニーズにぴったりです。

 価格でいうとモノラルアンプDAD-M100pro HTを4台とプリアンプと考えていましたが、電源コードがタコ足になる、セッティングが難しい、使用時スイッチを5つ押さないといけない、余計なボリュームを通過する、ということもあり、高価ですが現在の「プリアンプPA-S1」「ステレオパワーアンプMA-S160」の組み合わせにしました。 

 予想通り、というか希望通りアンプがものすごく仕事してくれているようで、最低域の圧力とスピードは特筆に価します。スピーカーの能力いっぱいに駆動しているかのようで、聴いていて怖いです。スピーカーがここまでの能力を持っていたのに感心するとともにユニットが心配に。

 トラブル発生。無音時にハイカノンのツィータからジーというノイズが。それもかなりの音量で、3m離れた位置でもはっきり聞こえます。昔のいやな記憶(また後日書きます)がよみがえります。いろいろ調べた結果、デジタルアンプは電源ケーブルからノイズを拾いやすいとのこと。すわ、安定化電源導入か!(悲)とうろたえつつ、原因を特定。スピーカーケーブルが電源ケーブルに接近していたためでした。一安心。

 最初に接続したRCAがモンスターケーブルだったためか、中高域がPMA−2000U以下です。ふわり、と包み込む感じ(色気)も今ひとつ。このままではメインにできない、とケーブルを交換。


端子に無理がかかるので長い距離にお勧めできない
直径2.6mm単線自作RCAケーブル。

左の緑端子はリモートパワーコントロール。
フライングモール規格でスイッチひとつで電源オンオフを連動できる。


スピーカーケーブルは直径5.5mmのキャブタイヤケーブル。
また、サラウンドスピーカーをマトリックス接続。
 このステレオパワーアンプはツインモノ構成なのでマトリックス接続時、
マイナス同士をつなぐ(アースを共通にする)必要があります。

 ケーブルで音色一変。低域の底力を保ちつつ、PMA−2000Uの良さをほぼ再現してくれました。アナログアンプでこの音を出すにはどれだけ投資しないといけないのだろう…とも思いました。予想以上だったのはサラウンド効果。今までにない臨場感です。ストリート・オブ・ファイヤのラスト対決シーンが本気で怖いです。PMA−2000Uの1.5倍は迫力が出たのではないでしょうか?この組み合わせで正解でした。

 とにかく、サラウンド映画を見ていて気持ちいいです。昨晩もつい時間を忘れて徹夜してしまいました。


■折り返しを曲面に06/07/27
 僕の使用している長岡鉄男氏設計のバックロードホーン(以下BH)は、工作や板取りの容易さからデジタル式の音道です。長谷弘工業のBHはそれと対照的に、アナログ式の曲面音道です。


長谷弘工業のBH、MM-141Sの内部

 長谷弘工業で試聴したとき、僕は同じユニットを使用した長岡氏設計のD-88と比較し、このように考えました。

 D-88は250Hz辺りにピークがあり、聴感上でも判りますが、MM-141Sは特にピークは感じられません。音道長が短く、開口部断面積もD-88より狭いのにこれだけしっかりとした低音になっているのは、曲面構成で効率が上がっているからとしか思えません。負けているのは音場感だけではないでしょうか?D-88は点音源に特化した設計なので当然といえますが。

 僕の長岡式バックロードホーンでの不満は上下平行面で生じる定在波による癖(特定の周波数が強調されたり、ボーボーいったりする)です。今まではそれを抑えるためにフェルトを敷いていたりしたのですが、上下の180度折り返し部分だけでも曲面にできれば解消される可能性が高いです。曲面にすれば更に効率が上がり、もし共鳴管に使えば低音の落ち込みも解消するかもしれません。

「上下の180度折り返し部分だけでも曲面にできれば」

 D-88はスワンタイプ。同じ長さの音道が180度折り返しで連続するので、より顕著にデジタル式のデメリットが出るのでは?出口方向に進む音波と共に跳ね返って戻る音波もかなり多いのではないでしょうか。特定の周波数に癖がつき、場合によっては「ボーボー」というような響きがつきます。特に最初にネックから下に降りきった後、左右に分かれ180度折り返すところが問題に思えます。

 それを解消すべく、曲面改良図を書いてみました。


前面

側面

 曲面を実現するには、以下の形状パーツが必要です。


曲面構成パーツ

 これにより、

1.上下定在波がなくなり、特定の周波数が強調されなくなる。
2.効率が上がり、中低音の厚みが増す。
3.音道内の空気の流れが良くなり、ユニットにかかる背圧減少、解像度が上がる。
4.3の効果で、本来減少して欲しいユニット背面の高音がストレートに出てくる。


 ことが予想されます。4はあきらかにデメリットです。内部が複雑なBHは一度作ると、後で曲面にするのは不可能。予備実験が必要です。そこで、BHと理論が地続きで構造が単純な「共鳴管スピーカー」で実験してみることにしました。


 F−201ハイカノンはメインで使っていたスピーカーなのですが、丁度新しいスピーカーを作る為に処分しようと思っていました。なので、どんな結果になっても惜しくない、という気持ちで挑みました。


F-201

構造

 これも1回だけですが180度折り返しです。しかも共鳴を利用しているので、特定周波数の強調がすぐに判ります。実際、僕は粗毛フェルトを敷いて緩和していました。

 曲面構成パーツは、本来であれば硬くて丈夫で鳴かない材質が向いているのでしょうが、効果を調べるには加工しやすい材質でも問題なかろうということで、今回はスタイロフォームを使いました。

 スタイロフォームは発泡スチロールを硬質、高密度にした住宅用断熱材です。吸湿性がないことから、経年劣化の点でグラスウールや粗毛フェルトより有利。スチロールカッターで容易に切断できます。F-201はU1の断面が230×140mm、U2が200×175mm。スタイロフォーム30mm厚と50mm厚を使いました。


加工が終わったスタイロフォーム

 容易に切断、と書きましたがスチロールカッターに不慣れなためか、滑らかさが今ひとつ。念のためにダンボールで治具を作っていたのですが…。(悲)

 パーツは共にU2側から挿入します。U2用は50mm厚を4枚接着。U1用はU2より幅があるのでそのままではU2から挿入できません。50mm厚2枚接着したものを2個と30mm厚との3パーツに分け、内部で合体させることにしました。

 挿入作業に入ったところ、音道の幅ぴったりすぎてU1用がなかなか合体できません。最終的に石鹸の力を借りて事なきを得ました。木ネジのときも助けられましたが、石鹸って本当に便利ですね。(笑)


音道の折り返し地点に組み込まれた様子

 さて、早速試聴してみます。

 一聴して低音に厚みが増し、楽器の余韻が倍増。それでいて中低域のボーボーいう感じがなくなったのです。以前は男性のせりふなどが太く、エコーがかかったようになっていたというのに!そして更に試聴を進めてびっくり、今まで聞こえなかった音が聞こえたのです。共鳴管は背圧がかからなく、微小信号に強い方式。質はともかく、一応ソースのディティールは全て出しているであろうと思っていただけに、驚きは大きかったです。間違いなく解像度が上がっています。予想以上に折り返しの反射で音がにごっていたことを実感しました。

 意外だったのは4の「ユニット背面の高音がストレートに出てくる」ことでしたが、幸か不幸か、この効果がまったく見られなかったことです。材質が反射の少ないものだったからかもしれません。

 ただ判ったのは、折り返しの曲面加工はデメリットよりもメリットのほうがはるかに大きいということです。次からBH、共鳴管を作るときは必須工作ですね。そのときは木とエポキシパテで理想の曲面に仕上げたい(加工アドバイスをしていただいた檸檬児さんに感謝。)です。

 問題があるとすれば、出力が上がったせいで相対的にリアスピーカーの音が小さくなり、サラウンド効果が減ってしまったこと。もうひとつは劇的な変化を遂げたF-201を処分できなくなったことです。まだまだ楽しめそうです。


■ONE ver.200505/03/08

 ONE ver.2004を使い続けていて、どうにも不満が出てきて楽しく作業ができません。あれだけ手を加えたのに、動作音が気になります。セパレート電源は確かに振動、電源ノイズを引き離すことができますが、本体ケースから見ると大型ファンが1つ減ったことになり、冷却能力が大きく落ちます。構成しているカードの関係で、これ以上低速なケースファンに交換することはできません。「世界最小ATXケース」の限界を感じました。かといって元のミドルケースに戻すとなると、大きくて目障りです。それで以前から気になっていた「デスクトップ型」にしてみる事にしました。

 
新しく選んだデスクトップケース「D.Vine4 MCE」は
アメリカの会社が販売しているのですが、製造元は韓国でした。
道理で韓国でほとんど同じ仕様の商品(KanamのHT-200)が出回っていたわけです。
チョさんによると、そのメーカーは倒産したようですが…。

シャーシはスチールで、トップパネルとフロントパネルがアルミです。
スチールのケースは初めて買いましたが、ものすごい剛性感です。
なので薄いトップパネルの裏にレジェトレックスを貼った以外は、
何も対策していません。
スチールとアルミのハイブリットタイプは理想的だと思います。


5.25インチベイは3つありますが、フロントパネルの関係で
実用になるのは上2段です。
デフォルトの状態では上の図のように、5.25インチベイ2つと
後面拡張スロットがふさがっていますので、
ニッパーで切り取り、切断面をやすりできれいにします。
スチールなので、さび止めにメタルプライマーを塗りました。
また、付属のケースファンは使い物にならなそうだったので、新たに購入しています。


ver.2004同様、今回もRAID0(ストライピング)にしているので、
HDDは2基装着しています。
しかしVFDモジュールがあるため、
2段目は段違い状態の位置に固定せざるを得ません。


これでどういった事になるかというと…。


がーん、AGPが200mmまでのものしか入らないことが判明。
これでは僕のGeForce4Ti4600が使えません。
HDDが1基だけならそのまま使えたのですが、
僕の用途には合いません。

思案の末、ビデオカードを買い換えることに。
せっかくのオーディオコンポ風ケースなので、
静音を強化してみようとファンレスの製品にしました。
今度は空気の流れに不安はありません。


選んだのは通常規格より100MHzクロックの高い、
玄人志向のRADEON9600XTです。
RADEONは暖色系、GeForceは寒色系という印象がありますね。
僕は最近RADEONの色調が好きです。

 
…が、ヒートシンクがメモリに当たって装着できなかったので(悲)、
少しのこぎりでカットしました。

 
ビデオカード装着完了。
このときは電源がKEIANのKWIN-400PS/BKでした。
この電源はファンが12cmでゆっくり回るため、とても静かなのですが、
キーンという高周波音がして、どうにも耳障りで我慢できません。
つい、カッとなって分解→コンデンサとコイルをエポキシ接着剤漬け→まだ音が→
ファンの軸音か?→ファンを交換と、やってしまいましたが、高周波音は収まらず。
電源を交換するほか無い、と結論が出ました。


より強力な(大型ファンでゆっくり回せるので静か)CPUファンにしたら
どうなるだろうかと、載せてみました。

 
スペースがほとんどなくなり、温度上昇。(泣)


結局、CPUファンは元に戻しました。(笑)
電源はSeventeamのST-350WAPに交換。
KEIANはぬるっとシャーシに収まってくれましたが、
Seventeamはわずかにきつい感じです。
KEIANと比べ、12cmファンの回転数が速いようで
音はわずかに大きいですが、
高周波音はまったくありません(起動直後にたまにある程度)。


夏場の運用を考えて、吸気ファンとして「止まるファン」を装着しました。
センサー感度を35〜45度の間で設定でき、
その温度以上になると回り始めるのです。

 
電源ファンと後面ファンで熱を効率よく排気するために、
CPUファンは上方排気にしてみました。
熱い空気をすべて上に向かわせる作戦です。


拡張し切った様子。ぎっしりです。
このデスクトップ型で初めて気づいたのですが、
CPU、ビデオカード、HDD以外にMTV2000が大きな熱源になっています。
こんなに熱かったとは。(汗)


吸気ファンの温度センサーは、
当初コンボドライブとHDD付近のシャーシに取り付けていたのですが、
HDDが結構サーマルキャリブレーションしていたので、
設定を35度にしてHDDへ直に取り付けました。
スチールのせいで冷却能力が落ちているのでしょうか?


フロントパネルは8mm厚のアルミ。
下部はシャーシとの間に空間が授けてあり、
吸気を妨げないようになっています。


インシュレータが「あんまり」でしたので、取り外しました。
補強リブが邪魔な上、穴が大きすぎてネジ止めできそうにありません。
今回の真鍮インシュレータは設計が複雑になります。


ケース付属のインシュレータ。
手前は一応、低価格コンポによく見られる
プラスチック+ゴムのインシュレータ(右)です。
後ろのインシュレータは見えないからか、ゴムの塊(左)。
まるで手抜きに見えます。


仕上がった真鍮インシュレータとの比較。


真鍮インシュレータ表と裏。
今回、インシュレータはメタルプライマーを厚塗りしたのみです。
さび止め程度ですね。

 
エポキシ接着剤で固定し、フェルトを貼り付けました。

 最終部品表です。

パーツ メーカー 商品名
CPU intel Pentium4 2.4BGHz Box
CPUクーラー CoolerMaster Cyprum(KI4-7H52A-OL)
CPUファン ADDA CFX-70S
メモリ Bulk 512DDRSDRAM×2
マザーボード ASUSTek P4PE/GLB/SATA/1394
OS Micro Soft WINDOWS XP Professional
HDドライブ HITACHI (IBM) HDS722516VLSA80×2
CD-R/RW/DVD-ROMドライブ PLEXTOR 20/10/40-12A
ビデオカード 玄人志向 RD96XT-A128C/HP
TVキャプチャカード Canopus MTV2000
DV編集ボード Canopus DVStorm-RT Light
ボードオプション Canopus Storm Bay
デコーダカード VertexLink REALmagic XCARD
サウンドカード CREATIVE Sound Blaster Audigy 2 Digital Audio
ケース AHANIX D.Vine4 MCE Silver
ケースファン(吸気) Nidec D08A-12PS6-02AC4×1
ケースファン(排気) 山洋電機 F6-SS×2
電源 Seventeam ST-350WAP

 途中気づいたことなど。
●ケースサイズ
 実は販売元のデータが間違っており、高さ162mmというのはフロントパネルの高さで、インシュレータの高さが含まれていないのです。どの道、このままでは設置しようと思っているラックに入らないので真鍮インシュレータは低く設計しました。

●スチールの蓄熱
 室温26℃でサーマルキャリブレーションの具合を見ていると、ほんのちょっと冷却が足りないみたいですね。HDDマウントはアルミ製にして欲しかったです。直接空気を当てる位置にファンを設置せざるを得ないかもしれません。案外、上方排気にしているCPUファンを下方排気にするだけで空気の流れが改善する可能性がありますが。(笑)

●怪しい
 搭載しているPLEXCOMBOがそろそろ寿命かもしれません。画質、音質はまだまだマルチドライブより上だと思っていますが、挙動が怪しいときがあります。それとも使用ソフト「Power DVD 5」のせいでしょうか?うーん。

●コンピュータの名前
 ケースが変わったことで名前もちょっと変えようかな?と思ったのですが、変えるとMTV2000の番組予約で「設定されたアカウント情報が取得できませんでした。タスクの起動に失敗する可能性があります。アカウントの設定を見直してください。」ダイアログが。タスクスケジューラの設定をいちいち直すか、再インストールする必要がありそうなので、名前変更をあきらめました。

●騒音
 こんなに静かになるとは思いませんでした。ver.2004に比べ、格段に静かで、ファンコントロールしているTWO-Lightに比べても圧倒的なのです。「むー」と小さく低い音が出ているだけで、部屋のエアコンが入っていると電源が入っているのかどうかも怪しく。(笑)作業に集中できます。何より、映画を見るとき邪魔にならないのがいいですね。

 とりあえず使い勝手も含めて、やっと満足いく仕上がりになった感じです。ver.2005は当分大きな変更をしなくて済みそうです。完成外観はこちら


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