■PS2の実力
02/01/17
去る事情で今僕の部屋に「DVL-H9」がありません。(泣)しかしプレイステーション(PS)2があります。せっかくD/Aコンバーターとして使える「VRDS-25xs」があるのですから、DVDビデオプレーヤーとしてのPS2の実力を見てみたい、と思ったのです。
まずラックに横置きにセットし、PS2の極性を合わせて接続します。調べると、左側がホット(写真でH)で右側がアース(写真でE)でした。本当は同軸でD/Aコンバーターへ接続したいのですが、PS2にはありません。やむを得ず光ケーブルで接続します。手元にあった光ケーブルはJVC(ビクター)の3mで3,000円程度のものです。光ケーブルは太さ、被服の材質、実際に接続するプラグ(接点)の精度で決まると思いますので、状況によっては同じ結果にならないと思います。映像は純正のS端子ケーブルを使用しました。
僕の持っているPS2はSCPH-30000番です。初期(10000番)では光端子からノイズが出るという欠陥があり、後にユーティリティーディスクを交換してソフト上で上手くごまかしていたのですが、今回はどうでしょう?
音のノイズ問題はありませんでした。僕は今までVRDS-25xsにDVL-H9(同軸&光)とDVP-S7000(同軸)を同じラックの上でつないだことがあります。あくまでそれと比べてになりますが、音は周波数(f特)が上下共に伸びきっていなく、リミッターがかかっている感じで更に中域の密度が薄くてもの足りませんでした。f特を伸ばさなかったのは、TVスピーカーを破損させないため(再生できない信号を送りこんでもユニットを痛めるだけ)なのかと思ったり。でも音場感がすごいです。ぐるんぐるんサラウンドします。ひょっとして一部ではDVL-H9をしのいでいるのでは、と思ったくらいです。少なくともDVP-S7000よりもサラウンドしています。
画質はDVL-H9に比べるとくすんでいます。まるで少し厚いガラスを間にはさんだようです。ただ、色はたっぷりとしていて、これは同社のLDプレーヤーに見られた傾向です。DVP-S7000よりも色が乗っています。妙な共通部分を感じて面白いですね。僕の感覚による評価は以下の通りです。DVL-H9を全て「A」として比較しています。
■音質
■画質 |
f特の伸び |
音場感 |
厚み |
密度 |
色乗り |
解像度 |
DVL-H9 |
A |
A |
A |
A |
A |
A |
DVP-S7000 |
B |
C |
B |
B |
B |
B |
SCPH-30000 |
B |
A |
C |
C |
A |
C |
PS2のDVDプレーヤーは「おまけ」程度だと高をくくっていましたが、結構A評価できる部分があって驚きました。まぁ、普通のDVDビデオデッキがハードで処理しているのに対し、PS2がソフトで処理しているのが大きな違いですけれど。ソフトががんばっているのでしょうか。これも電気的にデータを取れば変わらないのですからオーディオは面白いです。
更にウエイトを載せると若干良くなります。ウエイトの重量は満遍なく、本体重量の半分以下程度を目標に置くのが無難です。高比重で鳴かない「純鉛」がお勧めです。えっ、縦置きではウエイトの効果が感じられませんて?オーディオ的に縦置きは感心しません。(笑)横置きで行きましょう。
純鉛1kgくらいを載せた状態で、調子に乗ってDVL-H9に使っていた自作電源ケーブルで接続してみました。すると俄然画面が明るくなり、音に厚みが出てきました。ブルンといった低音の躍動感がすばらしいです。「厚み」の評価がCからBになります。「密度」もややアップ、これは効きます!こんなに変わるとは…。PS2用に電源ケーブルを自作する気になりました。普通の状態ではもったいないです。
■電源の極性
02/01/16
僕は何度か記事中に「極性を合わせる」と書いています。家庭用電源は交流で、プラグをどちら向きに差し込んでも機器は作動するようになっています。しかし、変わらないはずの差し込みの向きでA/V機器の音や画質が変わってしまうのです。
コンセントを正面から良く観察してみると、差込口の長さが違います。左側の長い方をアース、右の短い方をホット、と呼びます。アースが大地に接続され、ホットに電圧がかかっています。お手持ちのA/V機器のコンセントを差し込んで視聴します。そして充分にその音・画質を覚えたら逆向きに差し込み直して、もう1度視聴してみてください。どうですか?
画質は判りづらかったかもしれませんが、音は朗かに違って聞こえたことと思います。どちらが正解か?となると実のところ「それぞれの好みで良い」のです。一般(オーディオ界。笑)的には大地との電位が低くなる方が正解とされています。
大地との電位を測るにはデジタルテスター(電流計)を用意します。デジタルの理由は、「差」がはっきりと判るからです。調べたい機器をとりあえず適当な向きでコンセントを接続して電源以外のケーブルは外します。他の機器とつながっていると電位が変わってしまうからです。そしてスイッチを入れます。
テスターを「交流」モードにします。裸足でマイナス(黒い方)を握り、プラス(赤い方)を機器の音声や映像のRCAプラグに接触させます。それで機器と大地との電位が検出されるはずです。機器のシャーシに触れると正確に測れませんので注意してください。
次にコンセントの差し込み向きを変えて、もう1度測ります。電流が低い方が判ったら、マジックなどでマークしておくと便利です。長岡鉄男氏は、使用する機器全てをつないだ(実働)状態で電位が低くなるように各コンセントの向きをとっかえひっかえ、組み合わせを変えて調べていました。総合での電位、という考えでしょう。これでもいいと思います。僕など機器が増えて組み合わせが複雑なので1台ずつ調べる方法をとっています。
調べたところ、ファミコンやスーパーファミコンなどのACアダプターを使用するゲーム機においても効果がありました。なので、僕の家ではおおよそA/V機器にかかわりのある全ての極性を合わせているのです。全部揃ったときの音と来たら!
■ラックを自作する 2
02/01/10
板が届いたのは12月12日。丁度僕の休みの水曜日でした。慌てて業者に連絡し、工場へ向かいました。工場の仕事が終わってから、ということで夕方5時からの作業になりました。
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業務用のローラーで木工用ボンドをムラなく接着部両面に塗って貼り合せます。ずれないように気をつけます。特に天・地板は大きいので苦労しました。そしてプレス機に並べます。 |
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プレス中。とにかくこの何百キロという荷重は素人には真似できません。本当に助かります。…と、ここでトラブル発生!プレスされると同時に何枚かの板がずれ始めたのです。慌てて中断し、がっちりと食いつきかけた板同士を剥がしてもらい(僕のテクニックではどうしようもなかったため)、修正しました。 |
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どうやったらずれを防げるか?と困っていると、「タッカー」という巨大ステープラーで留めてはどうか、とアドバイスをいただき、これまた業務用のタッカーガンを貸してもらい、木口で固定しました。ここは組み立ての際、見えなくなる場所です。これで無事にプレスできました。 |
本当はそのまま2〜3時間待って持ちかえりたかったのですか、そうも行きません。僕のためにわざわざ残っていただいているのですから。そして次の日の早朝に受け取りに行き、3日かけて組み立てを完了。いつも通りウレタンニスと木口テープで仕上げました。
組み立て中に1つショックなことがありました。板厚が揃ってなかったのです。僕が発注したのは24mm厚でした。しかし、1部22mmの板が混じっていたので場所によっては48mmに満たない部分が出来てしまいました。しかし、日本工業規格で板厚の誤差は±2〜3mm認められており、仕方のないことだったのです。しかしまぁ、プレスしていたときは気付かなかったのに上手く左右対称に厚みを揃えて接着できたものです。偶然に感謝。(笑)
必要以上に頑丈に出来たようで、まさに「耐久消費財」です。完成写真はこちら。
■ラックを自作する 1
02/01/09
僕のパソコンVAIOをビデオデッキとして使い始めてからというもの、メインコンポと接続して活用したいと思うようになりました。しかし、当初はそんなことを思いも寄らなかったので、パソコンはパソコンで専用の机を用意して使っていたのです。もう物理的にこの2つを結びつけるのは難しいと判断しました。とにかく位置が離れていますし、パソコンをコンポの近くへ移動するとキーボードやマウスが使えず、ネット生活に支障をきたします。(笑)
もう重度のネット中毒である僕は、機器を集中することによって全てを解決しようと思ったのです。もともとメインのハイカノンはTVにぴたりと寄せてありました。しかしそうするとヤマハのGTラックが外へ離れてしまい、配線がどんどん長くなります。これはオーディオ的に良くないことなので、ラックをTVに寄せてハイカノンをその両脇にセットしたのです。でもサラウンド効果を考えるとハイカノンはTVに近い方がいいに決まっています。TV周りのスペースは限界なのです。そこで考えたのは…。
TVの両脇はスピーカーだけにしてコンポはコンセントやLANケーブルのある壁に配置、更にラックの最上段にパソコンを置く、というものでした。ラックの高さを合わせれば完璧です。キーボードやマウスは専用テーブルで使うようにします。むしろ今まで画面に近くて目が痛かったので、調節が利く分便利です。これは弟の部屋がそのようになっていて、かなり影響を受けたと思います。
条件としては、ヤマハのGTラックと同等かそれ以上の強度を持たせる、なるべく占有床面積を減らす、しかし機器の変更にも対応できる設計とする、というものです。
21mm厚2枚重ねと24mm厚2枚重ねを想定して設計しました。後は実際の費用から、どちらかに決めるつもりでした。今回は初めての試みとして、出かけずして板を発注してみよう、というのがありました。ネットをいろいろ検索したところ、ぴったりな業者が見つかりました。金額に余り差がなかったので24mm厚の設計でいくことにして、Eメールでやり取りしました。
そして1番の問題である大面積の2枚重ねです。特に冬場は木が乾燥して反っている場合が多いのです。所々浮いた部分が出来る可能性があります。が、思ってもいない解決を見ました。僕の勤務先に出入りする業者に上手いやり方を聞いたところ、業務用のプレス機を貸してもらえることになったのです。
■ノヴァをフロアタイプに
01/09/17
フォステクスのユニット「FE168Σ」を生かしたスピーカーに、長岡鉄男氏設計の「BS−168ノヴァ」というのがあります。本来Σは磁気回路が強力で、共鳴管やバックロードホーンに向いたユニットなのですが、なぜか16cmだけが少し非力でした。それを大型バスレフで設計して成功したのが「ノヴァ」なのです。初出はオーディオアクセサリー76号で、最近では「不思議の国の長岡鉄男@」に収録されています。今回はその本もあればより判り易いでしょう。
記事によると「ハイスピード、ダイナミック。音がポンポンと屈託なく、野放図に飛び出してくる。良く考えて整理して、しとやかに音を出してくるタイプとは対照的だ。これは長所であると同じに欠点でもある。どんなソースを聞いても明るくキレがよい。(中略)このスピーカーはキャラクターからするとモニター的である。」とあり、ペットネームの由来は「爆発する超新星スーパー・ノヴァから取った。」とあります。鳴りっぷりがいいのでしょう。周波数レンジは50Hz〜20kHz、しかもフラット。「モアイ」のメインシステムはこれから生まれたのです。しかもサブロク3枚と、片chユニット1発で経済的。俄然興味が沸いてきました。
ノヴァは高さ60cmのブックシェルフ型なので高さ30から40cmのスタンドが要ります。長岡氏も「それならフロアタイプにしてしまった方がよいのではないか。」と、具体的な「数字」でバリエーションを提案されました。
しかし実際に発表されることはなく、もちろん製作もされませんでした。ならば、と僕が作るとばかり、組み立て図と板取り図を書いてみました。ついでに名前も決めます。(笑)「BS−168fノヴァf」です。fは「フロアタイプ」のfです。え!?フロアタイプには「F-」で始まる形式番号がちゃんと長岡スピーカーにあるって?いいのです。これはバリエーションなのですから。(笑)
実際に記事中の数字通りにすると、組み立て図はこんな感じ、板取りはこんな感じになります。無難な感じにしました。ダクトは後ろに付けるとソフトな感じになるのと、正面のルックスがさびしくなるのでオリジナルと同じく前に付けました。ダクトを底板と離したのは、定在波から逃れるためです。底板とダクトを一体にした方が底板を強化できてよい、というメリットもありますが…。
でもずいぶん時が経っていますから、すでに作られている方がおられるかもしれませんね。4本作れば、モアイと組み合わせてのDTS
ES(6.1chサラウンド)に最適だと思います。
■共鳴管を考える 4
01/09/15
組み立て図はこんな感じ、板取りはこんな感じになりました。
ふと、疑問が出てきました。「オリジナル・スピーカー設計術」に共鳴管の断面積について「実用的には振動板実効面積の1.5〜3.0倍といったところか。」という記述があります。長岡氏のスピーカーのU1の値を見ると、どれもそれに達していないのです。少し考えてみたのですが、これは全パイプ(U1〜U4)の平均ではなかろうか?と。
そうするとネッシーは364cuとなり、1.77倍。ネッシー3は380cuで1.84倍。ここでの平均の出し方は「足して2で割る」のではなく「かけて√」で求めます。3.0倍などといっていたら、とんでもなく巨大なパイプになりますね。ハイカノンは314cuで1.52倍、ぎりぎりだったということになります。これが長岡氏の言う断面積なら納得がいきます。ハイカノン2ndはこの考えでいっても、十分条件を満たしています。
■共鳴管を考える 3
01/09/14
もう1つ。共鳴管はバックロードホーンと地続きにもなっていますので、「FE208S」を使用した「D-57」、「FE208ES」を使用した「D-58ES」も比較してみます。
|
D-57 |
D-58ES |
ユニットの実効振動板面積 |
206cu
(FE208S) |
206cu
(FE208ES) |
空気室容量 |
8.1L |
8.9L |
スロート断面積 |
180cu
(実効170cu) |
216cu
(実効170cu) |
音道長 |
2.497m |
2.497m |
開口部断面積 |
984cu |
1180.8cu |
D-57とD-58ESの比、空気室容量は1.1倍になっています。そして低音の出口である開口部断面積は1.2倍になっています。これもユニットが強力になるに従って、大きくなっているのです。しつこいようですが、この方向で間違いないと思います。
では僕が最初に考えた、新共鳴管の案を見ていただきましょう。ネッシーを基準にしました。
|
1.2倍 |
1.3倍 |
実際 |
U1 |
324cu |
351cu |
324cu |
U2 |
403cu |
437cu |
444cu |
U3 |
378cu |
409cu |
423cu |
U4 |
515cu |
558cu |
580cu |
ネッシーJr.ESがネッシーJr.比1.22倍になっていることから、1.2倍と、1.3倍を用意しました。1.2倍ですでにネッシー3を超えていますが、この位でないとユニットのドライブ能力を生かしきれないのでは、とネッシーJr.ESの記事を見て思ったのです。
共鳴管は、幅を決めると奥行きが決まります。今使っているハイカノンが260mm、あまり幅を増やすとセッティングに困ります。奥行きはラックとTVがあるので余裕…と、板取りなどを考えつつ要素を煮詰めていって幅300mm、奥行き410mmになりました。「実際」とあるのがそうです。また、メインユニットの位置がTV画面中央でないのも気になっていました。中央は955mmです。ということでネッシー3と同じく、ユニット取り付け位置を上げます。U1の324cuは実効振動板面積の1.57倍もあります。ドライブしてくれるのでしょうか?最悪、土管の中で鳴っている感じになります。不安ですがこれも実験です。今度は僕が人柱になりましょう。(笑)
結果的にU1とU2の比は1.37倍と、ネッシーというよりもハイカノンとほぼ同じになりました。今まで使っていた愛着もあり、このスピーカーを「ハイカノン2nd」と名付けることにしました。形式番号はF-2012にします。
音道長は部屋の天井高で決まります。天井が平らであれば共鳴管出口を確保するために20cmくらいは低く設計する必要がありますが、僕の部屋は右上の写真の通り傾斜しています。極端な話、ぴったりと接する様に作ってもかまわないわけです。しかし、角度をつけて設置することも考えU3までを基本として、高さ261.5cm、音道長3.59mになりました。更にシステムを前進させるなら天井はもっと高くなるので、わずかですがU4も考慮に入れました。これを取り付けると高さ270cm、音道長3.675mです。
■共鳴管を考える 2
01/09/12
今回は2つの要素があって新スピーカーを作ろうと思いました。1つは新ユニット「FE208ES」が強力で、ハイカノンに合わなくなってきたのではないか?と思ったことと、「オーディオ・アクセサリー」誌102号で16cmユニットですが、同じESを使用した共鳴管システムが発表され、長岡氏設計のものも含めてデータが揃ってきたからです。
データが重要なのは次の理由によります。共鳴管システムの設計には、実は不確定要素があるのです。それは「断面積」です。ユニットの口径に対して管の太さがどのくらいが適当か判っていないのです。ちょうどエンジンに対してどのくらいの車体だと良い車が出来るか判っていない状態なのです。巨大な共鳴管システム。おいそれと個人でいろいろ作って実験するわけにいきません。こういった記事(人柱ともいう。笑)は大変参考になります。
共鳴管システムの構造は左図のようになります。「U1〜4」は共鳴管を構成している部位、「矢印」はユニット背面の音の流れを示しています。共鳴管は長さで強調される音域が決まります。それをユニットでドライブ、U4を経て放射されるのです。長さが2.8mだと30Hzが共鳴の基本波になります。
Uは段階的に太くなっていきます。同じ太さのまま出口まで行けば低音がより強く共鳴するのですが、そうすると特定の帯域に癖がついてしまい良くないのと、放射効率をあげる目的でテーパーをつけている(デジタル的に、ですが。笑)のです。
ユニットの実効振動版面積(実際に動く部分)と共鳴管の断面積には見合った関係があるはずです。共鳴管が太くなれば音圧を上げられるはずですが、あまりユニットに対して太くなるとドライブし切れなくなる(小音量では共鳴が起こらずに、大音量で共鳴が起きると、今度は制動が効かない)恐れがあります。
そんなわけでサンプルを実際に比較してみることからはじめてみました。断面積の関係は、以下の表の通りになります。U3がU2に対して小さくなっているのは、補強材のためです。
|
ハイカノン |
ネッシー |
ネッシー3 |
ネッシーJr. |
ネッシーJr.ES |
ユニットの実効振動板面積 |
206cu
(FE208Σ) |
206cu
(FE208S) |
206cu
(FE208ES) |
166cu
(FE168Σ) |
166cu
(FE168ES) |
U1 |
253cu |
270cu |
277cu |
170cu |
207cu |
U2 |
350cu |
336cu |
353cu |
226cu |
285cu |
U3 |
332cu |
315cu |
325cu |
340cu |
414cu |
U4 |
− |
429cu |
454cu |
− |
− |
音道長 |
3.3m |
3.69m |
3.99m |
2.89m |
3.21m |
ネッシーはハイカノンを改良したわけですから、欠点克服が設計に現れているはずです。僕は「U1」が1番の要だと思っています。ユニットの実効振動板面積とU1との比は、ハイカノンが1.13倍。ネッシーが1.31倍。ネッシー3が1.34倍。ユニットが強力になるに従ってU1が太くなっているのです。「重低音、超低音の量感不足」はU1とU2の比から推測できます。ハイカノンが1.38倍、ネッシーが1.24倍。テーパーを少なくすることによって、共鳴を強くしようとしているのだと思います。そして更に強力なユニット、FE208ES使用のネッシー3もネッシーとほぼ同じ1.27倍です。
今度は16cmユニットのネッシーJr.とネッシーJr.ESもみます。ユニットの実効振動板面積とU1との比は、ネッシーJr.が1.02倍。ネッシーJr.ESが1.24倍。これは10cmユニット「FE108ESU」を「スーパースワン」を105%にしたキャビネットに取り付けて好結果だったことも関係あるでしょう。U1とU2比はJr.が1.33倍、Jr.ESが1.38倍です。Jr.ESの設計は炭山あきら氏が行っていますが、テーパーについてはそのままに近いですね。それでネッシーJr.ESはユニットのせいもあるのでしょうが、驚いたことにサブウーファーが要らないほどの低音を再生しているのです。とても16cmとは思えません。
強力なユニットなら、太い共鳴管を十分にドライブできるのです。そうなるとハイカノンのU1の値がFE208ESに対して不足である、とますます思いました。
■共鳴管を考える 1
01/09/12
共鳴管スピーカーは、管の長さで低音の共振周波数が決まるシステムです。くわしい仕組みは、長岡鉄男氏の著書「オリジナル・スピーカー設計術」に記述があります。僕の部屋のスピーカーでは、「ハイカノン」や「リヤカノン2」がそれにあたります。古来より共鳴管にスピーカーユニットを付けると低音は強調されるがボーボーいって音にならない、とされてきました。土管などのパイプに向かって叫ぶことを想像してみると良いでしょう。しかし長岡氏は実験で十分に実用になることを証したのでした。
メリットは占有床面積が小さい、設計が簡単、ユニットのf0(最低共振周波数)を大きく下回る低音を得られる、そしてこれが1番大きいと思うのですが、Dレンジ(最弱音と最強音の差)が既存のスピーカーの中でかなり広いことです。クラシックなどを聴くと抑揚が全く違います。ボーカルの伸びもすごいです。
デメリットもあります。多少共鳴音が残り音に癖がつくこと、管を長くしなければ低音が得られないので全長が長くなってしまうこと、超低音域まで再生できるがその上の重低音が薄くなって(出力が下がって)しまうので、サブウーファーなどで補う必要があることです。管の長さについては上方に伸びますし、サブウーファーは「モアイ」があります。僕にとっては、メリットがデメリットを上回っていたのです。
といっても、僕がはじめてハイカノンを作ろうと思ったときはサブウーファーが必要になるとは思っていませんでした。共鳴管から排出される低音は全指向性です。部屋のコーナーや壁際に寄せてやるとリスニングポイントに低音が十分に届くのです。でもハイカノンはその様にしても十分ではなかったのです。
長岡氏はすぐにメインスピーカーを「ネッシー」に変更しました。ハイカノンは「音は前に張り出してくる力強いもので、AVに向いているが、重低音、超低音の量感不足(省略)オーディオ用には音が荒く、粗いという感じがあった。」から(「観音力」より)です。また「ステレオ」誌のQ&Aコーナーでも「ネッシーは、ハイカノンとの違いは少ないのですが、クォリティアップを狙うとネッシーになります。」とありました。構造に大した違いがありません。では、何が違うのか?こうして僕は「次に共鳴管を作るときはどうしたら良いのか」と考えはじめたのです。
■コンポに憧れ 01/05/11
素直に憧れでした。小学校高学年くらいから、録音できる装置に興味が沸きます。でも当時はまだ「ステレオ」と「モノラル」の違いも知りませんでした。何しろ家は貧乏で、モノラルのラジカセしかなかったのですから。中学で出来た友人の家へ遊びに行ったとき、初めて「コンポーネントステレオ」を目撃したのです。圧倒されましたね。こんな世界があるのかと。レコード1枚聴くだけにも儀式めいたものを感じました。オープンリール式のテープがまだ現役で、CDなんて影も形も無かった時代です。
まだセッティングとか、電源の極性とか言ってなかった(というか誰も知らなかった)です。ただ2つの大きなスピーカーから音が出るのがすごくて、音質がどうのとかレンジがどうだとか気になりませんでした。遠慮して中央で聞いてませんでしたし。(笑)
その後、僕の憧れは「ミニコンポ」という形で一応実現するのですが、それでますますこの不思議な世界にのめりこんでいくことになるのです。
■リア・プロジェクションTVの掃除 01/05/11
今、僕の部屋にはリア・プロジェクションTVとロフト(寝るところ)に14インチのTVビデオが置いてあります。普通のTVでもそうだと思いますが、キャビネットを見ると結構汚れています。特に僕は、煙草は吸わないのですが、同じ部屋でプラモデルを作ります。エア・ブラシで塗装するので作業を終えた後は必ず静電気でブラウン管が真っ黒(まあ、いろんな色が混じって黒っぽく見えるのですが。)になってしまいます。
リア・プロジェクションTVも、きっと汚れているはずです。何しろ、買ってから一度も中のブラウン管を掃除していません。買って3ヶ月ほど経った頃でしょうか。映画などを見ていて、明るいシーンになるとスクリーンの一部に影が見えます。スクリーンの表面を拭いてみましたが、取れません。きっと裏側に汚れの元があるのだと思いましたが、分解するのは大事なので今までほうっておいたのでした。しかし、さすがにこう何年か経つと、精神衛生上良くありません。リア・プロジェクションTVの内部構造は雑誌で読んで知っています。内部には、冷却もかねた「液体が封じられているレンズ」が装着されているR(赤)G(緑)B(青)の7インチ程度のブラウン管3器と、その光を前面に反射させる鏡が斜めに取り付けられています。
以前、パイオニアのサービスの方が来られた時、ブラウン管よりも反射鏡の汚れを取るほうが劇的に変わる(特に明るさ)といわれましたので、スクリーン裏の掃除ついでにそこもやってしまうことにしました。注意すべきはブラウン管の「液体が封じられているレンズ」です。サービスの方の話によると、それを知らずにブラウン管を直接拭こうと外してしまい、取り返しのつかない状態になったお客さんもいたそうです。サービスで掃除を頼むと2〜3万円かかるので、自分でやってしまわれる方も何人かおられるのでしょう。サービスでは、特にマニュアルで決められた掃除の仕方は存在しないらしいので、地域によっては自分の思ったような効果が得られないかもしれません。僕も出費が痛いですので自分の責任でやります。
先ず、下段のスピーカーを保護するための「サランネット」を取り外し、スクリーンと繋がっているコードを除け、注意書きの貼ってある板をはずします。スクリーン下の横に並んだねじを4つ外し、持ち上げるような感じで(上部に引っ掛けてある)、スクリーンを外します。
ついに内部が露になりました。逆台形の反射鏡、3つのレンズが目に入ります。埃もなく、見た感じはそんなに汚れている様には見えません。「簡単マイペット」が近くにあったので、なるべく傷のつきにくいタオルを用意して、反射鏡から拭いてみました。うっすらとタオルが黒くなりましたが、14インチTVビデオ程の汚れはつきません。密閉されているので、ここに埃は入りにくいのかもしれません。レンズを拭いて見ます。ここでもあまり汚れがついていた感じはありませんでした。それよりも拭いたことによるタオルから出た糸屑と、乾いたあとの「マイペット」の残留成分の方が気になります。残留成分のせいで、反射鏡は所々曇った感じで、レンズは油膜が張ったようです。「簡単」じゃいかんのだ!(こんな用途に向かない)と、「ガラス・マイペット」をとってきました。
今度は大丈夫なはず…と、がんばって拭きました。しかし、また乾くと「跡」が残るのです。ひょっとして掃除しない方が良かったのではという思いがよぎりました。気を取り直して水で濡らし固く絞ったタオルで拭きました。…ははは。簡単に残留成分が落ち、乾いた跡も綺麗です。最初から「ただの水」でやれば良かったんですね。
視聴。一見して明るさが違います。とっかえひっかえ映画を見てしまいました。得した感じです。不精はいけませんねェ。これから1年に1回は掃除します。(笑)
■海外のソフトを買ってみる 00/11/08

うる星やつら2 |

メガゾーン23 |
以前から、ゲームソフトなどで海外(主にUS)通販を利用していて、ふと気付きました。DVDやCDは、USのほうが安いということです。特にDVDとなると、日本の1/2から1/3の価格で販売されています。しかも日本でまだ発売になっていないものまで。送料を含めたとしても3、4本買うとすぐ元が取れてしまうばかりか、上手くすると日本で買う予算でプレーヤーも買えるかもしれません。
ということで、早速買ってみることにしました。日本の映画にします。DVDであれば、言語を日本語にして、字幕を切れば日本のソフトと同じに見えるはずです。一つだけ問題があるとすれば、「リージョン(国別)コード」ですが、それも「オール・リージョン」のものを買えば解決。はたして、本当にお徳なのか?
届いてみてまず思ったのは、パッケージの作りが雑だということです。印刷がカラーコピーのように色がくすんでいて、更に紙質も良くありません。「うる星やつら2」のほうはケースが日本で良く見るタイプですが、「メガゾーン23」のほうは厚紙の上下をプラスチックで挟んだような形で、弱々しいです。
プレーヤーには問題なくかかります。画質も標準的で悪くありません。ところが、パッケージには「ステレオ」と書かれているのにそのように聞こえません。調べてみると、「英語音声」のほうだけステレオなのです!どちらもそうでした。「うる星」は、元がモノラルですからまだ我慢できますが、「メガゾーン」は内容がアレですので、元がステレオということもあり我慢できませんでした。また「うる星」のほうだけだったのですが、字幕をオフにしているのに、日本語が画面に登場すると英語で字幕が出るのです。あれは勘弁していただきたかった。大体「青亀交通(タクシー)」を直訳しても、意味が判らんだろう。(笑)
率直な感想としては、どちらも違う会社からリリースされているので、全体がこのような傾向であるとすると、あまりお買い得とは言えないかもしれません。日本のソフトと違ってずいぶん自国中心に作られているのだな、と思いました。元がモノラルの作品であれば、これから買い続けるのもいいかもしれません。まぁ、これも英語が聞き取れれば、全く問題ありませんが。「メガゾーン」は教材として利用しますか。(笑) |