■こんなソフトに弱い■
その



■ブライアン・デ・パルマ

ジャケット データ コメント
CPVD-1071

ミッドナイト・クロス
●音楽:ピノ・ドナジオ●キャスト:ジョン・トラボルタ/ナンシーアレン/ジョン・リスゴー/デニス・フランツ●108min  ヒッチコックに多大な影響を受けた監督です。そのため、サスペンスとして魅力的な作品です。高校時代、ヒッチコック作品をほとんど見てしまい、サスペンスに飢えていた僕は友人の紹介でデ・パルマを知ったのです。
 ミッドナイト・クロスは邦題で、原題は「ブロウ・アウト(破裂)」です。原題の方が内容に則していると思うのですが、なぜこんなタイトルにしたのでしょう?公開当時の日本でなじみの無い言葉だったからでしょうか。「裏窓」のアイディアである、1枚目の写真を撮ったときと2枚目に撮ったときの変化が事件の証拠になる、にかなり似たシーンが出てきます。しかし当時は気づきませんでした。まぁ冒頭、いきなり「サイコ」へのオマージュですからね。(笑)
 この作品の一押しが、ラストシーンが特にすばらしいところです。切なくて、音楽とも合っています。これは今まで見たサスペンス映画では味わえませんでした。
 主演女優のナンシー・アレンは、前作の「殺しのドレス」同様に起用されています。彼女は当時デ・パルマの奥さんでした。その後、映画雑誌のインタビュー(ボディ・ダブルの撮影中)で、「彼(夫)はとっても優しいのよ」と語っていましたが離婚→「ストリート・オブ・ファイヤー」で有名なマイケル・パレと付き合う→ロボコップに出演した後はメディアに露出しなくなってしまいました。今どうしてらっしゃるのでしょう?
 僕はLDとDVDで持っているのですが、音質と画質はDVDの方が優れているのになぜか、画面上下がカットしてあるのです。LDみたいにフル表示して欲しかったです。「ジャッカルの日」もそうでしたが、残念です。
 ボディ・ダブルは、「裏窓」と、「めまい」のオマージュ。「覗き趣味」と主人公が精神的な病(めまい=高所恐怖症、ボディ・ダブル=閉所恐怖症)を抱えているのが同じです。この監督が、ヒッチコックと決定的に違うのは、「愛を軽く見ている」ところだと思います。この作品でも「別れても好きな人」ではなく、「別れたら次の人」になっています。音楽はミッドナイト・クロスと同じく「ピノ・ドナジオ」が担当しています。メロディーが美しく、すっかりファンになってしまいました。そしてサントラを探し始めるのですが、ミッドナイト・クロスだけレコードで発売しているのを知ったときは、すでに廃盤になっていました。その後、韓国で偶然CDを発見するまで、長く聞けませんでした。
 スネーク・アイズは、久々のサスペンスです。「アンタッチャブル」が大ヒットした後は、余りぱっとした映画が出ませんでした。サスペンスを発表するのは、1度原点に立ち返り、新たにやり直すためかと思っていたら、本当にその通りでした。(笑)内容は、丁度「ミッドナイト・クロス」と「ボディ・ダブル」を足して2で割った感じです。なので、僕は劇場で冒頭を見た瞬間、犯人も謎もプロットも判ってしまい、困ってしまいました。
 冒頭の長回しは、「虚栄のかがり火」ではじめて行われていますが、ヒッチコックの「ロープ(1本の映画を丸々1ショットで撮影)」へのオマージュでしょう。ロープの時代はフィルム1巻が10分だったので、10分ごとにつなぐしか方法がありませんでしたが、今の技術ならもっと長回しも可能だと思います。しかし、役者の演技やセットの都合でこの作品が限界に近い(13分に及ぶ)でしょうね。余談ですが、デ・パルマのカメラの動きは面白いです。どうやって撮っているのだろう?というシーンも多いです。「ミッション・イン・ポッシブル」で、後半、ヘリで撮ったような遠景から列車にカメラが近付き、窓のすぐそばへというシーンがあるのです。スムーズに切れ目無く寄っています。列車の周りの架線もくぐっています。しかも列車は高速で走行しているのです!単純にCGなんですかね?
 デ・パルマ作品は、主人公が手放しで幸せになるパターンが無かったのです。しかし、スネーク・アイズでは違う結末が待っています。相変わらず、「次の人」ですが。(爆)「謎」として公開当時騒がれていたエンディングは、良く見ていれば、何でも無い謎だということが判ります。なぜあんなに騒がれていたのでしょうか?僕は、ボディ・ダブルの様に、スタッフロールを「飽きさせない工夫」のため、ああしたエンディングにしたと思うのですが、それを評論家か、映画会社が宣伝に利用したのでは?と思っています。スネーク・アイズとは博打の「ゾロ目」のことです。本編が99分なのは、デ・パルマが狙っていたのか…。
 そしてデ・パルマは、新しい試みとして宇宙物「ミッション・トゥ・マーズ」を撮るのです。初期作品で、オペラ座の怪人をモチーフにした「ファントム・オブ・パラダイス」もお勧めします。01/08/30
SDD-10582

ボディ・ダブル
●音楽:ピノ・ドナジオ●キャスト:クレイグ・ワッソン/メラニー・グリフィス/デボラ・シェルトン/グレッグ・ヘンリー/デニス・フランツ●114min
PIBF-1142

スネーク・アイズ
●音楽:坂本龍一●キャスト:ニコラス・ケイジ/ゲイリー・シニーズ/ジョン・ハード/カーラ・グジーノ/スタン・ショウ/ケヴィン・ダン/マイケル・リスポーリ/ジョエル・ファビアーニ●99min

■ピノ・ドナジオ

ジャケット データ コメント
韓国版
BMGSD 7646 7313835660-2

BRIAN DE PALMA
PINO DONAGGIO
●全14曲
CARRIE

1.Contest Winners
2.Bucket of Blood
3.For The Last Time We'll Pay

HOME MOVIES
4.Main Title Theme
DRESSED TO KILL
5.The Shower
6.The Transformation ・ The Storm ・ The Revelation

BLOW OUT
7.Blow Out
8.Sally's Death

BODY DOUBLE
9.Claustrophoby
10.Love and Menace
11.Drill of Death
12.Body Double

RAISING CAIN
13.Cain Takes Over
14.Love Memories

●47min
 ブライアン・デ・パルマと組んだ映画音楽です。タイトルも「ブライアン・デ・パルマ」になっています。デ・パルマが有名になってから組まなくなってしまったので、ドナジオは今一つマイナーな存在です。
 このCDを韓国で偶然発見したときは驚きました。それまでネットで探していた(’98ころ)ものの、「ピノ・ドナジオ」のCDは、全く見つからなかったからです。これはめぐり合わせ(旅行日記「韓国その4」に登場)でしょう。「キャリー」「ホーム・ムービーズ」「殺しのドレス」「ミッドナイト・クロス」「ボディ・ダブル」「ライジング・ケイン」の代表的な曲を収録した、お得な1枚です。キャリーやライジング・ケインなど、ちゃんと見ていない作品もありますが、曲の美しさはさすがです。特に1曲目、「Contest Winners(キャリーより)」は、大好きになりました。
 僕が1番好きなミッドナイト・クロスからは2曲だけのエントリー。それも1番聞きたかった、クライマックスからエンディングにかけての曲が収録されていないのは残念です。存在していたといわれるレコードがCD化されることを願います。でも2番目に好きなボディ・ダブルから4曲エントリーされ、聴きたい曲が含まれているので満足度は高いです。前出の作品が好きな方に特にお勧めです。
イタリア版
VCDS 7027

NERO VENEZIANO
●全16曲●34'57"min  1番欲しかったCDが見つかったので安心したものの、’99年から今にかけて、ドナジオは発見次第購入しています。最初の「デ・パルマ」もアメリカのネット販売で、見かけるようになりました。しかし収集はいいとして、もはやどの映画も見たこと無い状態になっています。(笑)収録時間が45分を切っているのはLPレコード時代の録音と思われ(丁度1枚に収まる)ます。
 NERO VENEZIANOは、ジャケットを見る限りは、「サスペンス、ホラー」物です。1978年の映画らしいです。マスターが悪いのか、細かいノイズが入っています。ステレオと書いてありますが、ほとんどモノラルに近いです。(泣)残念です。曲は非常に良いので、音質の点を差し引いても満足度はまあまあ良いです。日本語字幕が存在すれば、どんな映画でどんな風に音楽が使われたか見てみたいですね。曲調から察するに「悲劇」物の気配がします。
 I GRANTI SUCCESSI DIは、ちょっと拍子抜けしたアルバムです。と、いうのも全編ボーカル入りのポピュラーミュージック(イタリア語だと思いますが、アメリカのカントリーミュージックみたい)で、いつもの美しいメロディーでは無いのです。朗かに録音も古いです。英語表記が無いので断言できませんが、映画音楽と関係無いかもしれません。ボーカルがドナジオ。(爆)
 GIOVANNI FALCONEは、確実に映画のサウンドトラックです。録音も良くなります。写真や曲調から判断して、「社会派サスペンス」なのでは無いでしょうか?ドナジオはこんなサスペンスの音楽が本当に上手いですね。2曲目などミッドナイト・クロスを思い出します。ジャケット裏に「ドルビー・サラウンド」のマークが入っていますが、このCDは違います。恐らく映画自身のことだと思うのです。紛らわしい。(笑)
 COLPO DI CODA
も、確実にサウンドトラックですが、TV番組の音楽です。こちらはCDの表記(DDD)通り、音質が良いばかりか、きちんと「ドルビー・サラウンド」収録されています。TV番組自体がサラウンドだったのか、音楽だけ特別に処理されたのか気になります。このアルバムは物悲しい曲が多いですね。美しいメロディーだけに余計に際立ちます。
 MUSICA PER IL CINEMAは、前出の「デ・パルマ」と同じベスト版です。ただし、デ・パルマと関係無い1987年から1997年までの映画音楽を集めています。解説書のドナジオが年取ってますね。I GRANTI SUCCESSI DIのころがずいぶん若く見えます。GIOVANNI FALCONEから3曲エントリーされている他、「IL CARNIERE(’97。7曲)」「UN EROE BORGHESE(’94。4曲)」「LA MONACA DI MONZA(’87。5曲)」「UN DELITTO POCO COMUNE(’94。3曲)」「SQUILLO(’96。4曲)」とあります。しかし僕はどれも未見です。1番「売り」になっていると思われるIL CARNIEREよりも、UN EROE BORGHESEの曲が気に入りましたね。
 UP AT THE VILLA
は、作品が新しい(2000年とあります。)こともあるのでしょうが、曲も音質も良いです。1曲目がタイトルのUP AT THE VILLAで、演奏が始まった瞬間に耳がとろけます。優雅で、豪華。サスペンス物の印象が強いドナジオでしたが、このアルバムは流れるような美しい音楽ばかりです。CDを聴いてこれほど映画の方を見てみたいと思ったことはありません。イメージと違っていたら怖いので、無理に見ようとは思いませんけど。(笑)
 これからもピノ・ドナジオ作品は集めていこうと思います。また、デ・パルマと組んで欲しいものです。01/08/30

EU版
IDC 887892

I GRANTI SUCCESSI DI
●全14曲●39'32"min
カナダ版
PTE-8524-2

GIOVANNI FALCONE
●全22曲●40'48"min
イタリア版
COS 016

COLPO DI CODA
●全17曲●47'27"min
US版
PTE-8502-2

MUSICA PER IL CINEMA
●全26曲●72'58"min
US版
VARESE SARABANDE 302 066 128 2

UP AT THE VILLA
●全21曲●55'16"min
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