■こんなソフトに弱い■
その



鈴木清順の浪漫三部作

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TLL 2306


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ツィゴイネルワイゼン
●音楽:河内紀●キャスト:原田芳雄/大谷直子/真喜志きさ子/麿赤児/樹木希林/佐々木すみ江/山谷初男/玉川伊佐男/大楠道代/藤田敏八●144min  ツィゴイネルワイゼンをはじめて見たのは小学校5年のときで、正月の深夜TV映画でした。途中(といってもほとんど頭)から見たのですが、時間感覚のなさ、淫靡な雰囲気、リアルさ。その不思議な魅力にすっかり獲りつかれてしまったのです。
 話自体はどう説明したらいいか、高校生になってもうまくいえませんでした。ジャンルもはっきりしません。また、僕がなぜ好きなのかも説明できませんでした。
 当時、僕以上に映画好きだった友人に勧めてみたところ、「この監督はすごいな、誰の影響も受けていない!」といっていました。また、「それが小学5年生で判るお前もすごい」と。褒められてるのか馬鹿にされてるのか判りません。(笑)ただ、独特な手法は好き嫌いが分かれると思います。この淫靡な雰囲気、リアルさがシュールレアリズムからきているのが判るのは、ずっと後(「プラハからのものがたり」を見るまで判らなかった)になります。
 高校を卒業するころ、これは「怪談」なのではないかという考えになりました。これならうまく説明できる、そう思って今まで読んでいなかったLDの解説書を読むと「怪談」という説明がされていて、僕の考えが当たっていて驚いたことがあります。なぜそれまで解説書を読まなかったのか不思議です。(笑)
 いまだに僕の好きな映画第1位の地位を守っています。
 陽炎座は泉鏡花原作の映画化です。アクションでない松田優作、も驚きですが、清順映画に主演する松田優作にはもっと驚きです。DVD版の解説によると優作が監督のファンで出演を願ったとか。
 最初の松田優作のせりふを聴いた瞬間、ツィゴイネルと同じだ、と感じて、見終わった後もやっていることは同じだったと思ったのですが、分析して見るとツィゴイネルとやっていることはまるで違うのです。不思議な作品ですね。
 この作品も時間感覚のなさ、淫靡な雰囲気、リアルを感じます。でも、それ以上に僕が押したいのは、「画」が美しいことです。ツィゴイネルのときはそれほど感じませんでしたが、どのシーンもスチルで撮った「作品」をつないでいったような、別の言い方をするとこの映画のどのシーンを切り取っても1枚の作品として成立する出来なのです。「夢二」も画に力が入っていますが、この作品にはかなわないと思います。映画と言うのは一般に物語を見せるものだと思われていますが、その名の通り「画を映す」のも映画なのだ、と清順映画を見ていると思います。
 話自体は荒唐無稽ですが、役者の演技がこの世界で違和感がまったくないのが、リアルさにつながっていると思います。その点「夢二」は正直、少しリアルさに欠けていますね。
 漫画家まつもと泉氏も影響を受けたのか、「セサミストリート」で劇中劇で登場(DVD版のパッケージのシーンがそのまま登場)します。
 夢二は竹久夢二のお話。舞台は金沢で、そのロケのほとんども金沢で行われています。「天ぷら蕎麦の食いかたってぇのは、まず天ぷらで一合の酒を飲む。それから蕎麦を食うんだ。…知っちゃいねぇな。」沢田研二のせりふがいいですね。
 清順の「浪漫三部作」の最後ということもあり、同じように大好きなのですが、どうも客観的に見れない映画です。実は僕はこの作品にかかわっています。大学時代にアルバイトとして参加したのです。大変面白い経験でした。夢二はおそらく、一般の方には1番見やすい作品ではないでしょうか?02/11/26
APLA-9001


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陽炎座
●音楽:河内紀●キャスト:松田優作/大楠道代/加賀まりこ/楠田枝里子/大友柳太郎/東恵美子/麿赤児/沖山秀子/佐野浅夫/佐藤B作/原田芳雄/中村嘉葎雄●139min
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夢二
●音楽:河内紀/ 梅林茂●キャスト:澤田研二/毬谷友子/宮崎萬純/廣田玲央名/宮城千賀子/長谷川和彦/麿赤児/余貴美子/原田芳雄/大楠道代/坂東玉三郎●204min

■ヤン・シュヴァンクマイエル

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アリス
●キャスト:クリスティーナ・コホウトヴァー●84min  アートアニメの大家、シュヴァンクマイエルです。コマ撮りにより、生命を与えられた無機物が演じる「不思議の国のアリス」です。
 初めて見たのは96年の深夜TV映画で、それ以来LDを探すも廃盤(94年に発売)、DVDでやっと再会しました。僕の中で「アリス」といえば、この映画以上のものは無いのです。理不尽で、どこかいやらしい雰囲気に満ちています。いやらしい、というのはシュヴァンクマイエルの作風、シュールレアリズムに関係しているものといえますが、内臓をイメージさせる生物、何よりもアリス役の少女の朗かな容姿にカメラアングル!(笑)その気のない人も「いけない気持ち」を抱いてしまうと思います。いや、これこそが原作者ルイス・キャロルの視点なのか。(爆)
 コマ撮りというのはその撮影法故、どうしても製作日数がかかるはずですが、よく少女の成長前に撮り終えたものです。別々に撮ったものを編集でつないでいるのならともかく、この作品では違和感なく絡んでいますからね。よほど製作前にスケジュール管理していないとできませんよ、これは。
 シュールレアリズムというと癖が強い作品が多いのですが、誰に見せても評判が良かったという珍しい作品です。シュヴァンクマイエルを見るのなら、1番はじめに見ると良いでしょう。
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短篇集
●キャスト:ベドジフ・ガラセル/ヤン・クラウス/マリエ・ゼマノヴァー●80min  短篇集は「フード」、「石のゲーム」、「ワイズマンとのピクニック」、「肉片の恋」、「フローラ」、「アナザー・カインド・オブ・ラブ」、「スターリン主義の死」、「プラハからのものがたり」が収録されています。
 シュヴァンクマイエルに興味が出たら、その作風の秘密に迫るドキュメンタリー、プラハからのものがたりをお勧めします。実はこれで「体感していた妙な癖のある作品」がシュールレアリズムだったということを知りました。
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FAUST
●キャスト:ペットル・ツェペック/ヤン・クラウス●97min  FAUSTはゲーテの戯曲ファウストを題材にした、アリスに次ぐ長編です。最初、癖が強く、なかなか楽しめませんでした。が、1度最後まで見てしまうと、ああ、なるほどと理解できて、何度も見てしまうことになるのです。この監督は不思議な魅力がありますね。多分シュヴァンクマイエル作品で2番目に見やすい作品だと思います。
 今回のアニメは局所に集中しているのですが、フラスコの中の生命がすさまじいですね。
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悦楽共犯者
●キャスト:ペトル・メイセル/イジィ・ラーブス/バルボラ・フルザノヴァー/ガブリエラ・ヴィルヘルモヴァー/パヴェル・ノヴィアナ・ヴェトリンンスカー●87min  悦楽共犯者はもっとシュールレアリズムを強くするとこうなる、という作品。こちらも長編です。「性癖」の快楽を追求する人々のお話。それぞれ別の性癖を持っているのですが、次第にそれぞれの生活にかかわっていることが判ります。今回もアニメは局所集中です。しかし正直な話、アニメがなかったら普通の(ちょっと変わった?)作品だと思います。これぞ、アニメがあるからこそシュールレアリズムの味が出た作品、といえるでしょう。02/11/26

■レイ・ハリーハウゼン

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シンドバッド7回目の航海
●監督:ネイザン・ジュラン●音楽:バーナード・ハーマン●キャスト:カーウィン・マシューズ/キャスリン・グラント/トリン・サッチャー●88min  プリンスオブペルシャ(POP)、トゥームレイダー(TR)といったゲームに多大な影響を与えています。コマ撮りによるストップモーション・アニメの巨匠、レイ・ハリーハウゼン。アニメも去ることながら、ストーリー的にも好きな作品を選びました。シュヴァンクマイエルのような「邪悪さ(笑)」はなく、ひたすら動きの面白さを堪能できると思います。
 シンドバッド7回目の航海は、多分予算が1番あったころの作品でしょう。なぜなら、この後、だんだんとみすぼらしくなって行くからです。「シンドバッド虎の目大冒険」なんて見ていて辛くなるほど。(笑)ストップモーションなので動きはややギクシャクしているのですが、モンスターがすばらしいです。登場モンスターは、サイクロプス/ガイコツ戦士/巨鳥/ドラゴンなど。特にサイクロプスは有名なのでは?ヒッチコック映画でおなじみのバーナード・ハーマンが音楽を手がけています。
 シンドバッド黄金の航海は「7回目の航海」から15年たって作られた映画で、登場モンスターは、船首女神/陰母神カリー/ケンタウロス/グリフィンなど。何といっても陰母神カリーが熱いです。起動時のダンスは、もろにSFC版POPで登場します。でも、モンスターで怖いはずなのですが、この映画でのダンスは、どことなくユーモアがあって、かわいいですね。(笑)TR4にもダンスはないものの、そのままの姿で登場しています。
 アルゴ探検隊の大冒険は、集大成といえると思います。予算も再投入!?ストーリー、モンスターの種類、合成など、非常に高度にバランスが取れていて、しかも面白いのです。登場モンスターは、テイロス/ハイドラ/ガイコツ戦士など。ガイコツ戦士は前作と似ていますが、より進化、というか自然に動いていると気づくでしょう。テイロスなども今後のTRシリーズに出てきてもおかしくないと思います。というより、出してください。(笑)あっ、でもTR2の最後の敵の倒し方が似ていたような気がしてきました。(爆)レイ・ハリーハウゼンでどれか1本、となったら間違いなくこれですね。02/11/26
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シンドバッド黄金の航海
●監督:ゴードン・ヘスラー●音楽:ミクロス・ローザ●キャスト:ジョン・フィリップ・ロー/キャロライン・マンロー/トム・ベイカー/ダグラス・ウィルマー●105min
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アルゴ探検隊の大冒険
●監督:ドン・チャフィー●音楽:バーナード・ハーマン●キャスト:トッド・アームストロング/ナンシー・コバック/ゲイリー・レイモンド●104min
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